2020年03月17日 15:52 公開

米ワシントンにある聖書博物館が所蔵する「死海文書」の断片が、偽造されたものであることが判明した。

専門家は6カ月にわたる分析の結果、16片の断片が靴用の皮革でできているようだと結論付けた。

200ページにおよぶ報告書では、「この断片のあらゆる特徴が、慎重に偽造されたものであることを示唆している」と述べられている。

死海文書は紀元前に書かれたとみられるヘブライ語聖書の写本。

1947年、死海西海岸のクムラン洞窟で発見された。羊飼いの子どもが迷子のヒツジを探していたときに見つけたとされており、史上最も重要な考古学的発見と言われている。

現在、文書の大半はイスラエル政府が所蔵している。

今回、偽造品と断定された断片は、聖書博物館の所蔵品でも最も価値のあるもののひとつとされてきた。

この博物館は2017年、キリスト教福音派の富豪スティーヴ・グリーン氏が5億ドル(約530億円)を投じて建設した。

グリーン氏は、この16片の断片の購入金額を明らかにしていないが、似たような本物は数百万ドルで取引されている。

美術品などの鑑定を手掛けるアート・フロード・インサイツのコレット・ロール氏は声明で、「画像分析や科学的分析の結果をすべて評価した結果、聖書博物館にある死海文書コレクションには本物がひとつもないことが明らかになった」と述べた。

2002年以降、死海文書の一部とみられていた文書の断片が古美術品市場に出回り始めた。

聖書博物館はこのうちの16片を個人収集家から購入。報告書では、そのうち13片が2016年、研究チームによって「断片そのものとその内容説明のために」公開されたと説明されている。

「その時は、博物館の断片について科学的な調査は行われなかった」

「公開以降、研究家からはこれらの断片が本物なのか懸念を表明する声が上がっていた」

偽造品であることを隠すため、偽造者は断片を「光沢のあるこはく色の物質(中略)恐らくは膠(にかわ)で」コーティングしたとみられている。

6カ月にわたった調査では、3D顕微鏡を使った赤外分光法、エネルギー分散型X線分析といった手法が用いられた。

聖書博物館が所蔵する断片については、2018年10月にもコレクションの一部が偽造品であることが判明し、非公開となっていた。

この時は、これまで研究されてこなかった13片を調査した聖書学者らが、その多くが現代に偽造された「可能性が非常に高い」と表明したことで調査が始まった。

聖書博物館はこれまでにも議論の的になっている。2017年には、アメリカ司法省がイラクからの密輸品だと指摘した数千点について、グリーン氏の所有企業ホビー・ロビーが300万ドルの罰金を支払い、イラクに返還している。

(英語記事 US Dead Sea Scrolls collection found to be fakes