2020年03月19日 15:33 公開

ドナルド・トランプ米大統領が新型コロナウイルスを「中国製」と呼び、中国が強く反発している。

トランプ氏は16日にツイッターで、感染症COVID-19を引き起こす新型ウイルスのことを「中国ウイルス」と表現。18日の記者会見でも改めて同じ呼び方をした。

これに対し、中国外務省の耿爽副報道局長は、トランプ氏のツイートは「中国に汚名を着せる」行為に当たると批判。

「間違いを正し、中国に対する根拠のない告発をやめるようアメリカに強く求める」と述べた。また、米政府は「中国に汚名を着せる前に自国の面倒をみる」べきだと警告した。

「米国がウイルス持ち込んだ」

新型ウイルスの最初の感染は、2019年末に中国・武漢市で確認された。

しかし、中国外務省の報道官は先週、米軍が新型ウイルスを武漢市に持ち込んだとする陰謀論を拡散。

マイク・ポンペオ米国務長官はこの根拠のない告発をめぐり、中国に「偽情報」を広めるのをやめるよう要求。中国は大流行の「責任を転嫁」しようとしていると述べた。

新型ウイルスの感染者は中国で8万人を超え、世界では20万人以上に達している。

ただ中国政府は17日、新たな感染について、国外からの渡航者を除くと1人だったと発表した。

WHOが警告

世界保健機関(WHO)はこれまで、新型ウイルスを特定の地域や団体と結びつけないよう警告を発してきた。不当なレッテル貼りにつながるからだ。

2015年には伝染病の名称決定に関する指針を発表。「これまで、病気の名前が特定の宗教的・民族的コミュニティーに対する反感を引き起こし、渡航や貿易などへの不当な障壁を生み、家畜の不要な殺害を招いてきた」と指摘し、2015年に流行した中東呼吸器症候群(MERS)の名称を批判している。

WHOはさらに、伝染病の名称を決める上で避けるべき言葉として、地理的な位置(スペイン風邪など)、人名(クロイツフェルト・ヤコブ病など)、動物あるいは食品名(鳥インフルエンザなど)、文化や産業の名前や、過度な不安を引き起こす言葉などを挙げている。

しかし、トランプ政権では多くの政府関係者が、新型ウイルスを「中国ウイルス」と呼んでいる。ポンペオ氏は繰り返し、「武漢ウイルス」と表現している。

中国の国営新華社通信は、トランプ氏の言葉遣いについて「人種差別的で外国人を嫌悪」するものだと論評。「政治家たちの無責任と無能」を示すものでもあり、新型ウイルスへの恐怖心をあおっているとした。

トランプ氏の発言については、ニューヨーク市のビル・デブラジオ市長が、アジア系アメリカ人への「偏見を強める」恐れがあるとツイートするなど、米国内でも批判が噴き出ている。

ぎくしゃくした関係

中国とアメリカはぎくしゃくした関係が続いている。

トランプ氏は従来から中国について、不公正な商取引と知的財産権の侵害をしているとして批判してきた。一方、中国はアメリカについて、中国が世界の経済大国に成長することを抑え込もうとしていると認識している。

両国は激しい貿易戦争を繰り広げ、互いに数千億ドル規模の関税をかけ合ってきた。

今年に入って新型ウイルスが流行したことで、緊張は和らいでいるとされる。1月には貿易交渉をめぐって部分的な合意に達した。


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(英語記事 Trump angers Beijing with 'Chinese virus' tweet