だからこそ、「子育てSOS」のキャッチフレーズは「がんばり過ぎない子育てのススメ」だ。また、虐待問題の根本には、人間関係の希薄化によって相談相手がいないばかりに、悲惨な結末になるといったケースもあり、「子育てSOS」はこうした問題解決にもつながるといえるだろう。

 ただ、これだけで十分と考えないのが、富岡市長だ。「子育てSOS」に先駆け、「高崎市子育てなんでもセンター」が2017年4月にオープンした。市有地を活用して民間事業者が建設し、福祉と住居機能が一体となったビル「オアシス高崎」2階に拠点を置き、さまざまな子育てサービスを展開している。

 託児ルームはもちろん、週末も利用可能な「交流・プレイルーム」のほか、子育て相談も受け付ける。託児ルームの利用については目的を問わない。「がんばり過ぎない」という実践として、保護者が映画やコンサート、美容院、買い物などを楽しみたいといった理由でも問題なく利用できる。

 「保護者が遊び目的で託児所を利用することに罪悪感がある人は多い。でも我慢ばかりでは息が詰まって悪循環になる、そこを解消したいというのが富岡市長の思いなんです」と同センターの小石さち子所長は目的を問わない意義を強調する。

 さらにこのセンターの特色は「就労相談」だ。同様の施設に「ハローワーク」の端末を設置しているケースはあるが、ここではハローワークやNPO法人の担当者が直接相談に応じるサービスも提供している。

 富岡市長は「かつては近所づきあいや、地域のお年寄りが何かと手伝ってくれたものでした。でも、現代はそうはいきません。だからこそ、行政がサポートしなきゃいけない。子育ての悩みが解消されれば好循環が生まれるんです。ヘルパーの人数を増やすなど、これからももっと充実させていきたいですね」と力説する。
「子育てなんでもセンター」で支援に取り組む小石さち子所長(中央奥)ら=2020年3月(iRONNA編集部撮影)
「子育てなんでもセンター」で支援に取り組む小石さち子所長(中央奥)ら=2020年3月(iRONNA編集部撮影)
 首都圏を中心とした都市部の人口一局集中という課題解消は一筋縄ではいかない。ただ、子育てに安心感が生まれれば、家族を持ちたいという思いは強まり、どこで子育てするのがよいかといった選択肢が増えるはずだ。

 こうした高崎市の取り組みを一つのモデルケースとすれば、少子高齢化や地方創生といった課題解決の糸口になるのではないだろうか。(iRONNA編集部)

【問い合わせ先】
「子育てSOS」専用ダイヤル(027・384・8009)
「子育てなんでもセンター」 (027・393・6101)