「人生100年時代」と言われるようになった今、高齢者すべてが健康であればよいが、そうもいかないのが現実だ。

 近年では介護の必要な高齢者が、介護施設などで暮らすケースが増えたとはいえ、在宅での介護も少なくない。

 親戚や知人の結婚式、または葬儀といった冠婚葬祭などがあっても、「おじいちゃんやおばあちゃんを一人自宅に残して出かけられない」という経験をした人は多いのではないだろうか。

 人口約37万3千人の群馬県高崎市。2006年以降、周辺町村との合併などで人口は増えたが、65歳以上が約10万2千人と高齢化率は27・78%で、要介護等認定率は16・7%だ(2019年11月30日現在)。

 こうした現状を踏まえ、高崎市は子育て支援に注力すると同時に、高齢者の介護支援でも極めて異例な施策に取り組んでいる。

 それは2017年度から始めた「介護SOSサービス」だ。このサービスは、24時間365日、電話のみで介護専門のスタッフが駆けつける。高崎市に住民票のある65歳以上の高齢者が対象だが、介護者が市外に住んでいる場合でも利用可能で、サービスの依頼者は市民でなくてもかまわない。

 冠婚葬祭などはもちろん、世話をする家族の急用や体調不良など、1時間単位(250円、利用は1カ月5回まで)の訪問サポートが主なサービスとなっている。一方、施設への短期宿泊サービス(一泊2食付きで2千円、送迎付きは3千円、利用は1カ月3回まで)もある。

 自宅への訪問サービスは、制度上「宿泊」はないが、10時間利用などになれば、ヘルパーが交代で担うため、実質的に夜から朝までのサービスになるケースもある。

 同サービスは、高崎市の企画に基づき、群馬県内で介護事業を展開する「ケアサプライシステムズ」が趣旨に賛同したことから、市の補助事業としてスタートした。2017年度の利用実績は「訪問」が963件、「宿泊」が65件だったが、18年度は「訪問」が1421件、「宿泊」が116件と急増しており、ニーズの高さがうかがえる。
※写真は本文とは関係ありません
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  サービスの背景にあるのは、近年問題となっている「老々介護」だ。こんなケースがあった。高齢夫婦の世帯で、ある日の深夜、夫がベッドから起き上がろうとした際に転倒した。体格のよい夫だけに、妻一人では対処できずにいたところ、ケアマネジャーから「介護SOSサービス」を教えてもらい、早速電話したという。

 「まさにSOSという事態でした。電話の後、すぐにスタッフが駆けつけてくれて、汗まみれだった夫の体を拭いて、着替えさせ、ベッドに寝かせてくれました」と、利用者は振り返る。