2020年03月24日 11:21 公開

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は23日、新型コロナウイルスの感染者数が世界で30万人を超えたことを受け、パンデミック(世界的流行)が「加速している」と警告した。

新型ウイルスによる感染症「COVID-19」が初めて報告されてから67日間で、感染者数は10万人に達した。その後11日間で10万人から20万人に、さらにその後の4日間で20万人から30万人へと増加した。

しかし、テドロス事務局長は、こうした「傾向を変えられる」可能性はまだあるとし、厳しいウイルス検査や感染経路を追跡する戦略を導入するよう各国に求めた。

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サッカー選手を起用した新型コロナウイルス撲滅キャンペーンを立ち上げ、国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長と共同記者会見に出席したテドロス氏は、「最も重要なのは、我々が何をするかだ。守備だけではサッカーの試合で勝てないように、攻撃もしなければならない」と述べた。

テドロス氏は、自宅にとどまるよう呼びかけたほか、物理的距離を保つ措置は、新型ウイルスの感染拡大スピードを遅らせる上で重要だと述べた。一方で、「こうした防御策は、我々が新型ウイルスに勝つことへの助けにはならない」ものだとした。

「新型ウイルスに勝つためには、我々は攻撃的で狙いを定めた戦術で新型ウイルスを攻撃する必要がある。感染の疑いのある人を全員検査して隔離すること、感染が確認されたあらゆる人の治療を行い、感染経路を追跡し、あらゆる濃厚接触者を隔離することが必要だ」

世界中で医療従事者が感染

世界中の医療従事者の間では、多数の感染者が出ているとの報告が上がっている。適切な防具が不足していることが要因とみられ、テドロス氏は警戒感を示した。

「医療従事者が効果的に仕事を遂行できるのは、安全に仕事ができる場合だけだ。(中略)我々がほかのことをすべて正しく行っても、医療従事者の保護を優先しなければ、多くの人が死ぬことになるだろう。命を救ってくれるはずの医療従事者が、病気になってしまうのだから」

テドロス氏は、WHOは協力機関と連携し、世界的な防具不足に対処しているとした。一方で、「新型ウイルスの感染拡大スピードを遅らせるための措置が、必要不可欠な防具などの不足状態を悪化させるという、予期せぬ影響をもたらすかもしれない」と述べた。

また、テドロス氏は「世界レベルでの政治的取り組みや調整」を求め、主要20カ国・地域(G20)の各首脳に対し、防具の生産拡大や輸出禁止の回避、ニーズにもとづく配給の公平性の確保のため、今週にも協力を要請する方針とした。

欧州各国が新型ウイルス対策を強化

ボリス・ジョンソン英首相は23日夜、新型コロナウイルス対策として、必需品の買い物や治療、社会に不可欠な仕事への通勤などごく一部の理由を除く外出を、ただちに禁止すると発表した。生活必需品の買い物、毎日の運動、医療上の理由、不可欠な仕事のための通勤を除き、外出が禁止される。

イギリスでは新型コロナウイルスによる死者がこの2日で約100人増え、335人に達した。国内で検査された人は8万3945人で、6650人の感染が確認されている。

世界で最も影響を受けているイタリアの当局は23日、COVID-19による死者が過去24時間で602人増えて6077人に上ったと発表した。一方で、1日あたりの死者数としては、19日以降で最小となり、同国政府による厳しい制限による効果が現れ始めたとの期待が高まっている。

スペインでは死者数は462人(27%)増えて2182人に上った。

フランスでは新たに186人の死亡が確認され、死者数は合わせて860人に達した。同国政府は、24日から封鎖措置を強化する方針で、身体運動を厳しく制限するほか、屋外マーケットのほとんどを閉鎖する。

東京五輪への影響

こうした中、国際オリンピック委員会(IOC)のディック・パウンド委員は23日、米紙USAトゥデイのインタビューで、2020年東京オリンピックを2021年に延期することで決定したと述べた。しかし、IOCはこれまでのところ正式に延期は発表していない。

IOCは4週間以内に結論を出すとの声明を発表していたが、カナダ、オーストラリア、イギリス各国の五輪委が選手団を派遣しない方針を示していた。

(英語記事 Coronavirus pandemic is 'accelerating', WHO warns