次に、安倍首相の友人の加計孝太郎氏が理事長を務める、学校法人「加計学園」(岡山市)の獣医学部新設の認可をめぐる問題だ。加計学園が認可された経緯で、「首相の意向」などと記された文書が出回り、前川喜平前文科事務次官が「文科省で作成された文書に間違いない」と証言した。

 また、獣医学部が設置される予定の愛媛県や今治市の職員、学園幹部と柳瀬唯夫首相補佐官(当時)が面会した際、柳瀬氏が「本件、首相案件」と述べたと県職員の備忘録に記されていた。

 さらには、安倍首相が加計理事長と面談し、獣医学部新設の構想に「いいね」と述べたと記された県の文書が見つかった。愛媛県の中村時広知事は「県職員は柳瀬氏と名刺交換した」として職員が受け取った名刺を公開し、「文書は会議に出席した県職員が報告のために作成したものだ」と説明した。

 一方、安倍首相は、「県文書に記載された日の前後の時期も含めて、加計理事長とは会っていない」と疑惑を完全否定した。柳瀬氏も県職員らに「記憶の限り、会っていない」とやや曖昧な表現で否定した。また、内閣府、厚生労働省、文科省は、愛媛県職員らが首相官邸を訪問した際のやり取りを記した文書は省内に存在しないと発表した。

 だが、柳瀬氏は後に、「加計学園の関係者と面談し、その際に愛媛県や今治市の職員がいたかもしれない」と発言を修正していった。また、愛媛県など面談した際の文書が農水省に残っていることが明らかになった。

 結局、加計学園の認可を巡り、安倍首相が「特別な便宜」を図ったかどうかの疑惑は解明されないままに終わっている。しかし、首相の疑惑を隠すために、官僚が省庁を超えて口裏を合わせて否定しようとしているという印象を国民が持ってしまったのは間違いない。

 そして、新型コロナウイルス問題が発生するまで、国会で厳しい追及を受けていた首相主催の「桜を見る会」に関する問題だ。吉田茂内閣のころから毎年開催されてきた「桜を見る会」だったが、安倍首相や自民党議員の地元支持者が多数招待され、規模が年々拡大してきたことが、「私物化」だと批判されている。

 具体的には、安倍内閣になってから「政治家枠」の招待客の人数が、2005年度には2744人だったのが、2019年度は約3倍の8894人に増加した一方で、国際貢献や災害復旧などの功労者は406人から182人に激減していた。

 そのうえ、反社会的勢力が来場していた可能性も指摘されている。2019年度の費用が予算の3倍にも膨らんでいたことも判明した。

2019年11月、「桜を見る会」をめぐり、首相官邸前で抗議する人たち
2019年11月、「桜を見る会」をめぐり、
首相官邸前で抗議する人たち
 特に問題視されているのが、安倍首相が都内ホテルに自身の後援会関係者850人を招いて「前夜祭」を行ったこと、そして「桜を見る会」当日に、貸し切りバス17台に分乗して会場に向かったことだ。

 首相の後援会関係者は「前夜祭」の会費として5千円を払ったという。だが、ホテルのグレードや料理の質から、この金額では不可能なパーティーだと疑われている。もし、会費と実際にかかった費用の差額分、当日の貸し切りバスの費用などを税金か首相のポケットマネーで補塡(ほてん)していたら「公職選挙法違反」の可能性があると疑われている。

 また、この問題でも行政文書・公文書の管理のずさんさが問題となっている。招待客の名簿のデータが、野党議員が国会で質問をすると通知した約1時間後にシュレッダーにかけられていた。しかし、政府の答弁は「名簿の破棄は、たまたまシュレッダーの予約が取れたのが、野党が国会に質問通告した1時間後だった」とか、中学生でもおかしいと分かるような珍答弁だった。意図的に文書を廃棄したことが、あまりにも見え見えであった。