2020年03月29日 12:34 公開

ボリス・ジョンソン英首相は28日、国内の全市民にあてた手紙で、新型コロナウイルス対策は必要となれば今後さらに強化される可能性があると述べた。ジョンソン氏は自分自身も感染が確認され、首相官邸に自主隔離している。

イギリス国内の約3000万世帯に送付される書簡で、ジョンソン首相は「私たちは当初から、適切な対策を適切な時期に実施しようとしてきました」と述べ、「もしも科学的・医学的助言がそうしなくてはならないと言うなら、今後さらに踏み込んだ対策をためらうことなく実施します」と書いた。

首相はさらに、「皆さんにありのままの話をするのは、私にとって大事なことです。事態は良くなるより先に、まずは悪くなる。それは分かっています」と書いた。

「けれども私たちは適切な準備をしています。全員がルールに従えば従うほど、亡くなる人は減り、生活は早く元に戻ります」

首相のこの手紙の送付には政府予算580万ポンド(約7億8000万円)の費用が想定される。

国内の各世帯には首相の手紙と合わせて、外出についての政府規則や健康情報などが書かれた冊子が配布される。

首相の手紙に先駆けて、NHSイングランドの医療責任者は28日、政府が毎朝開いている新型ウイルス対策会議で、「今は決してウイルスに対して気を抜いてはならない」と忠告していた。

スティーヴン・ポウィス教授は政府の対策会議で、国内の死者を2万人以下に抑えるためには「1人1人、全員が」それぞれの役割を果たさなくてはならないと述べた。

イギリスでは、新型ウイルスに関する政府の助言があいまいだと批判が続いている。

イギリス政府によると、27日午後5時の時点で、国内で1019人が新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」のため亡くなっている。

28日午前9時の時点で、計12万776人が検査を受け、そのうち1万7089人がウイルス陽性と判定された。

多くの専門家はイギリスの状況について、今後さらに2~3週間は感染と死亡の人数が増え続けるだろうと見ている。市民が不要の接触を避ける「社会的距離」戦略や、日常生活への厳しい制限の効果が出始めるには、まだそれだけかかる見通しという。

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医療を守り命を救って

ジョンソン首相は手紙の中で、ウイルスのパンデミック(世界的大流行)を「国家非常事態の時」と呼んだ。市民に外出を控えて感染拡大を防ぐことで、国民医療制度の国民保健サービス(NHS)がパンクしないように協力してほしい、1人1人のそうした行動が多くの命を救うことになると呼びかけた。

首相はさらに、医師や看護師をはじめ、様々な形で他人を介護し面倒を見る人たちをたたえたほか、特に弱い立場にあり感染発症リスクも高い人たちを支えるために協力を買って出ている数十万人のボランティアをたたえた。

首相の手紙と一緒に送付された冊子には、効果的な手の洗い方、COVID-19の症状、外出についての政府ルール、感染リスクの高い人たちの守り方などが書かれている。

首相官邸はツイッターで、「#StayHomeSaveLives(家にとどまり命を救おう)」というハッシュタグと共に、首相の手紙の画像を投稿し、「ボリス・ジョンソン首相はイギリスの全世帯に手紙を書き、全員に家にとどまりNHSを守り、命を救おうと呼びかけています」と書いた。

https://twitter.com/10DowningStreet/status/1244029214933889024?s=20


英・北アイルランドでは28日夜、自宅待機や休業の政府指示に違反した場合の罰金が施行された。事業に対する罰金は最高5000ポンド(約67万円)、個人には最高960ポンド(約13万円)。

ビジネス・エネルギー・産業戦略相のアロク・シャーマ氏は、事業者の支払い能力悪化に柔軟に対応するため、倒産関連法を変更すると発表した。

また医療現場にマスクや感染防護服などを十分に行き渡らせるため、国内増産体制の稼動を開始したという。

国内各地では医療従事者のウイルス検査が次々に始まっている。

イギリス政府ではジョンソン首相のほか、マット・ハンコック保健相も陽性となり自主隔離している。首相や保健相と行動を共にすることの多かった、政府の医療トップ、イングランド主任医務官のクリス・ウィッティー教授は陽性判定は出ていないが自主隔離している。


予防について

感染拡大の防ぎ方について

(英語記事 Coronavirus: Things will get worse, PM warns in letter to Britons