2020年03月29日 23:28 公開

ヴィクトリア・ル、科学担当編集委員(BBCニュース)

ほんの数週間前のことを覚えているだろうか? スーパーへ行くのは「基本的な生活必需品」を買う時だけで、それも「できるだけ回数を抑え」るよう制限されていなかった、あの頃のことを。

「基本的な生活必需品」云々は、ボリス・ジョンソン英首相の言葉だ。新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために市民の日常生活を抑制するという政府の対応を説明した際、買い物に関する新たな方針を、こう説明した。

首相はこの時、「可能な時は、食べ物のデリバリーサービスを利用」すべきだと言った。

しかし、買い物に出かけたり、デリバリーを受け取ったり、あるいはテイクアウトを家に持ち帰ったりするとき、どうすればベストな形で安全を確保できるのか。

店先でのリスクは

新型コロナウイルスは、感染者がせきをして、ウイルスを含んだ小さな飛まつを空気中に放出すると、拡散する。こうした飛まつを吸い込んだり、飛まつが付着した物体の表面に触れたりすると、感染する可能性がある。

つまり、買い物に出かけたり、不特定多数の人と同じ空間を行き来したりすれば、そこに感染のリスクはある。そのため、他人から少なくとも2メートル離れる「社会的距離」を保つことが非常に重要だ。多くの店舗がこの距離の維持を強制している。

ウイルス拡散にとって、スーパーは「理想的な環境」になり得る。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のサリー・ブルームフィールド教授はこう言う。

「多くの人が商品を手に取ったり戻したりするし、レジのベルトコンベアやキャッシュカード、駐車場の券売機ボタン、ATMの支払いボタン、紙のレシートなどを触ったり渡したりしています。(中略)複数の人が近くにいるのは言うまでもありません」

これらのリスクを軽減する方法はいくつかある。

  • 買い物の前後に、せっけんと水で20秒間手を洗う、またはアルコールを含んだ消毒剤を使う
  • 物の表面が汚染されているかもしれないと想定し、ショッピングカートや買い物かご、商品のパッケージや農産物を扱った後は顔に触れない
  • 現金やカードの受け渡しはしない。コンタクトレスな支払い方法を選ぶ

買ったはどうなのか

新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」が食品を介して感染するという証拠はない。徹底的に火を通せばウイルスは死滅する。英国食品基準庁のウェブサイトには、家庭での食品の安全性に関する助言が掲載されている。

しかし、「リスクがゼロ」というわけではないと、ブルームフィールド教授は指摘する。特に、他人が手を使った包装が、懸念される。

政府によると、「食品包装が特定のリスク要因だというデータはない」。しかし、気をつけるべき点はあると、第三者の専門家は言う。

「容器に入っていたり包装されている商品については、使う前に72時間保管するか、プラスチックやガラス製の容器に(指示通りに慎重に薄めた)漂白剤をスプレーして拭く」べきだと、ブルームフィールド教授は言う。

教授はさらに、「包装されていない生鮮品の場合は、誰が触ったか分からないので、流水でよく洗い自然乾燥させて」ほしいとしている。

自宅へのデリバリーは安全?

業者が対応できる限り、自宅に配達してもらう方がスーパーマーケットに行くよりもリスクは低い。他の買い物客を避けることができるからだ。一方で、食品やパッケージの表面あるいは配達員を介して感染する可能性はある。

食品安全の専門家でブロガーのリサ・アッカリー博士は、配達員にはベルを鳴らしたらドアから離れてくださいと、玄関前にメモを置いておくようアドバイスする。これで安全に1人で食べ物を受け取ることができる。

高齢者など社会的弱者を支援しようと、各地でボランティア・ネットワークが次々と生まれているが、その人たちはどうだろう。

物の表面に付着しているかもしれない新型ウイルスを除去するには、「普通の家庭用漂白剤を薄めたもので、物の表面を拭くといい」と、ウォーリック大学メディカル・スクールのジェイムズ・ギル医師は言う。「そうすれば1分以内にウイルスは不活性化する」。

「オンライン配達サービスの利用は、友人やボランティアに食料品を集めてもらうよりもリスクが少ないはずだ」と、英サセックス大学のウイルス学の専門家、アリソン・シンクレア教授も言う。

一部の専門家もまた、このパンデミック(世界的流行)の間は、ビニール袋の使用は1度きりにし、再利用しないよう助言している。

テイクアウトは?

国内各地では多くのレストランが、テイクアウト専用の営業に切り替えている。評判の良いチェーン店やきちんとしたレストランの厨房では、プロの衛生的な調理法を取り入れている可能性が高いため、調理されたばかりのテイクアウト用の食事から感染するリスクはほとんどないはずだ。

容器からの汚染リスクを最小限に抑えるには、「中身を(きれいな皿に)移し変えて、容器を空にしてゴミ袋に捨てて、食べる前に手をよく洗う」のが有効だと、ブルームフィールド教授は助言する。

「スプーンで容器から食べ物を取り出し、指ではなくナイフやフォークなどを使って食べるように」

今のような状況では、冷たいものや生のものよりも、調理されたばかりの温かい食べ物を注文したほうがいいかもしれない。英国食品基準庁は、食品からの感染リスクは低いと強調しており、「適切に調理されて扱われている食事なら、調理済みの食事を避ける必要はない」としている。

しかし、誰よりも用心深い人や、最も感染リスクのある弱者にとっては、慎重に用意され料理された食事は安心かもしれない。

「例えばピザの場合、念には念を入れて安心したければ、届いたものをさらに電子レンジで何分か加熱してもいい」と、ブルームフィールド教授は付け加えた。


予防について

感染拡大の防ぎ方について

(英語記事 Coronavirus: How can I shop or get deliveries and takeaways safely?