アスリートたちにとっても東京五輪の1年程度の延期は必ずしも全員が歓迎している決定事項ではない。新型コロナウイルスの悪影響が続けば、練習環境も整わず満足な調整は延々とできないままということになる。パンデミックに終息の見込みが立たない中、大会本番までのスケジュールには十分過ぎるほどの余裕があるわけでもない。

 日本代表に決まっていない候補選手たちも本来であれば実戦を重ねた末に予選へ出場し、何とか夢の切符をつかみたいところだ。

 だが政府や行政から出された自粛指令によって今も悶々とした日々を過ごしており、最長で来夏開幕となる東京五輪に向けたシナリオを組むメドすら立っていない。

 その挙句、もし延期→中止のダブルショックを受けるとなると精神的に計り知れないほどの大きなダメージを彼らアスリートたちは被ることになるだろう。

 おそらく、それはアスリート生命を揺るがせてしまうほどの致命的なものになってしまうはずだ。
桜の花と台場の海上に浮かぶ五輪マーク  東京都港区(川口良介撮影)
桜の花と台場の海上に浮かぶ五輪マーク  東京都港区(川口良介撮影)
 団体競技で東京五輪の代表権獲得を目指す男子選手は「ハッキリと言いますが、僕は『2年延期』が希望でした。1年程度の延期はどう考えても短過ぎです」と言い切る。そして、こうも続けた。

 「アスリートファーストとは言いますが、1年程度の延期に決まったことはどちらかと言えば日本政府や大会組織委員会の思惑のほうに重きを置いた結果なのかなという気がしています。もちろん、2年後になってしまったら今のレベルを保てないという代表選手が多く出てくることも当然でしょう。ただ、それでもコロナを封じ込めるために『1年程度』では、どう考えても足りないのではないでしょうか。そう思っている世の中の人はきっと多いと思いますよ。何となく見切り発車で延期し、結局中止になってしまったら元も子もないです」

 コロナショックの勢いに歯止めがかからないことを考えると、明らかに短い1年程度の延期決定にはややギャンブル的な発想も絡んでいるような気がしてならない。