木村悠(元世界ライトフライ級王者)

 2020年7月24日に開会式を迎える予定だった東京五輪・パラリンピック。国際オリンピック委員会(IOC)は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、延期を発表した。それに伴い、大会組織委員会、東京都、政府、IOCで協議し、来年7月23日開幕で合意した。

 過去、五輪が中止となった例はあるが、それらは戦争が理由によるものだ。五輪の延期はこれまでになく、極めて異例の事態である。延期の影響でさまざまな問題が挙がっている中、選手たちにとって最大の不安は「代表選手選考」だろう。

 当初の開催予定まで4カ月を切った段階で、全競技の6割の選手が代表に内定していたが、その他の選手の選考大会については中止または延期となっていた。IOCの発表によると、2020年東京五輪の代表に決定している選手に関しては自動的に2021年大会の出場資格を得られるようだ。

 こうした中、ボクシングに関しては、IOCの発表より前に日本ボクシング連盟が、いち早く選手選考について発表していた。日本ボクシング連盟の内田貞信会長は「ボクシング競技はアジア・オセアニア予選が終了しているので、この結果(代表選手決定)については不動だと信じている。したがって、国内枠の選手も内定している通りで進めたい」と語った。

 日本は、男子4人、女子2人の開催国枠があり、代表選手は以下の選手が内定している。

【男子】 田中亮明(フライ級/52キロ) 成松大介(ライト級/63キロ) 岡澤セオン(ウェルター級/69キロ) 森脇唯人(ミドル級/75キロ)

【女子】 並木月海(フライ級/51キロ) 入江聖奈(フェザー級/57キロ)

 この他に下記の選手が国内の代表となり世界最終予選での五輪出場を目指す。

【男子】 堤駿斗(フェザー級/57キロ) 梅村錬(ライトヘビー級/81キロ)

【女子】 濱本紗也(ライト級/60キロ) 鬼頭茉衣(ウェルター級/69キロ) 津端ありさ(ミドル級/75キロ)

 世界最終予選がどのような方法で、いつ開催されるのかは未定だ。さまざまな課題が残されているが、日本での記念すべき五輪開催だけに、私としては1人でも多くの選手に出場してほしいという思いがある。
ボクシング五輪予選の男子フライ級1回戦で、キルギス選手(右)を攻める田中亮明=2020年3月、アンマン(共同)
ボクシング五輪予選の男子フライ級1回戦で、キルギス選手(右)を攻める田中亮明=2020年3月、アンマン(共同)
 では、五輪を目指す選手にとって、この1年の延期がどのような影響を与えるだろうか。私自身、ボクサーとしてアマチュアで7年、プロとして10年ほどリングで戦っていたので、その経験などから、考察してみたい。

 そもそも、アスリートの寿命は恐ろしく短い。私も心身ともに充実してピークの状態で戦えていたのは、5年くらいだった。加えて、ボクシングのような階級制スポーツは減量があるため、他のスポーツに比べ「年齢による影響」は大きい。しかも、これは若い選手ほど顕著にあらわれる。