2020年04月04日 22:02 公開

イギリスの最大野党・労働党は4日、新しい党首にサー・キア・スターマー(57)を選出した。労働党は昨年12月の総選挙で大きく議席を減らし、現職のジェレミー・コービン党首が辞任を表明。その後、候補者の選定が行われ、党員や労働組合会員、有権者登録した支援者などによる投票となった。

スターマー氏は最初の投票で56.2%の得票率を獲得し、同じく候補だったレベッカ・ロング=ベイリー議員(27.6%)やリサ・ナンディー議員(16.2%)を抑えて党首になった。

労働党員の有権者は78万4151人だったが、実際に投票したのは49万人強だった。

新型コロナウイルスの流行を受け、労働党はこの日に予定していた集会を中止。投票結果は電子メールで公表された。

BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長は、スターマー陣営は圧勝を予測していなかっただけに、速やかに当選したことで党運営がしやすくなり、新党首が求める党内変革も実現しやすくなるだろうと分析した。

初の女性党首は実現せず

スターマー氏はビデオ・メッセージで、自分の仕事は「この素晴らしい党を、自信と希望を持って新しい時代へ導く」ことだと述べた。野党として建設的に国政に協力すると約束しつつ、いずれ労働党が「再び政権与党として、この国に仕えられるようになる」ことを期待すると強調した。

新党首はここ数年、同党で問題となっている反ユダヤ主義について謝罪。「この毒を根本から引き剥がす」と約束するとともに、ユダヤ教徒が労働党に戻ってきてくれるかどうかが、党首としての自分の成功を握っていると述べた。

副党首には、影の教育相を務めていたアンジェラ・レイナー氏が選ばれた。副党首選には5人が立候補していたが、支持率は拮抗。投票は第3回まで行われた。

スターマー氏の当選により、労働党初の女性党首誕生は実現しなかった。同党では過去に、ハリエット・ハーマン氏やマーガレット・ベケット氏が党首代行を務めたことがある。

「建設的な野党」へ

スターマー氏は元弁護士で、検察局長官を務めたこともある。2015年にロンドンのホルボーン・アンド・セント・パンクラス地区で出馬し、下院議員となった。

コービン前党首の影の内閣に3年以上在籍し、ブレグジット(イギリスの欧州連合離脱)政策などを担当した。

自身を社会主義者と呼ぶ一方で、コービン氏支持者ではないとしている。ただし、ウェブサイトで発表した10項目の公約では、鉄道や郵便、水道の国有化や、反労組法の撤回など、コービン氏時代の主要政策を踏襲すると述べた。

しかし、同氏の党首としての最初の仕事は、新型コロナウイルス対策となる。ボリス・ジョンソン首相や政府の科学顧問などが主催する超党派の対策会議に、すでに招かれているという。

スターマー氏は、「前例のない時期」に党首に選ばれたと話し、政府と「建設的に」協力し、パンデミック(世界的流行)に立ち向かうと説明。

その上で、「重要な問題に光を当て、間違いや政府の行き詰まり、物事が迅速に進まないといった事態を見つけたときにはそれに反発し、声をあげていく」と述べた。

(英語記事 Keir Starmer elected as new Labour leader