2020年04月06日 14:44 公開

アメリカの新型コロナウイルスのアウトブレイク(大流行)の震央となっているニューヨーク州で5日、1日あたりの新たな感染者数と死者数が初めて減少したと、当局が明らかにした。

ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事はこの日、州都オルバニーでの記者会見で、同州の死者が594人増えて4159人に達したと発表した。1日あたりの死者数が初めて前日(4日、630人)を下回った。

クオモ氏はまた、入院治療を必要とする人の数が1週間ぶりに減少しているとした。現在ニューヨークの住民約12万2000人が感染しているが、入院を必要とした人の75%近くはすでに退院しているという。

一方で、今回のデータの有意性を判断するには時期尚早だと述べた。

ドナルド・トランプ米大統領は5日夜の定例会見で、ニューヨーク州のこの変化を受けて、「トンネルの向こうの光」が見えたと歓迎しつつ、「これからアメリカはこのパンデミックのピークに耐えることになる」と定例会見で述べた。

<関連記事>

一方で、 政府の新型ウイルス対策を主導している米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ博士は、短期的な見通しは「本当に悪い」と慎重な姿勢を示している。

ファウチ博士は5日、トランプ大統領がたびたび主張しているように、事態が「制御されている」と断定するには時期尚早だと、米NBCニュースに述べた

「制御できているとは言えない。そんな発言は、事実と異なる。我々は現在、制御できずに苦労している状態で、それが目下の課題だ」とファウチ博士は説明した。

ジェローム・アダムス公衆衛生局長官も5日、米フォックス・ニュースに対し、「大半のアメリカ人にとって、人生で最も厳しく最も悲しい1週間になる」と警告した。

「真珠湾攻撃や2001年9月11日の米同時多発テロの時のようになる。(中略)ただ今回は特定の地域ではなく、アメリカ全土で起きることになると、国民に理解してもらいたい」

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間6日午後までにアメリカでは33万7600人以上が感染し、9640人以上が死亡している。

トランプ氏はマラリア薬推奨

トランプ氏は定例会見の大部分を割いて、かねてから新型コロナウイルスに効くと主張しているマラリア治療薬を強力に推奨した。

ヒドロキシクロロキンが、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」に薬効があるのかは未確認で、ほとんどの専門家によると、実証されていない実験的な治療方法に過ぎないという。

しかし、米食品医薬品局(FDA)は、COVID-19で入院した患者への「緊急使用」を承認している。

トランプ氏は、連邦政府としてヒドロキシクロロキンを2900万回分すでに発注済みで、国内に配布すると述べた。

「もし効くなら、早めに対応しておいた方がいい」とトランプ氏は言い、「僕は医者じゃないが、分別がある」と述べた。

記者会見に同席していたファウチ博士に向かって、記者がこのヒドロキシクロロキンは本当に効くのかと尋ねると、トランプ氏は博士をさえぎり、「もう十分答えたから」と返事をさせなかった。

ニューヨークの最新状況は

クオモ州知事は、「新型コロナウイルスは本当に凶暴で強力なウイルスだ。(中略)強力な殺人鬼だ」と述べた。

一方で、ニューヨークが現在、感染のピークに達しているかはわからない。クオモ氏は、感染者数が急減していくのか、ゆっくり減少していくのかを判断するには時期尚早だとした。

感染の流行「曲線」について、クオモ氏は、「初めは真っ直ぐ上昇し、真っ直ぐ下降していた。あるいは完全な『V字』状態だった。もしくは、停滞状態なのかもしれないし、横ばいのままなのかもしれない」とし、「統計学者は、何についても明確な答えは提示できないだろう」と述べた。

クオモ氏は、自宅待機による「ストレス」がたまっているかもしれないが、運動や食品の購入などの必要不可欠な活動を除き、住民は引き続き屋内にとどまらなくてはならないと述べた。

ニューヨーク市のビル・デブラジオ市長は記者会見で、当初5日に備蓄ガなくなるとしていた人工呼吸器について、7日か8日までの分を確保したと発表した。

デブラジオ市長は、「あと数日間分の人工呼吸器を購入した」と述べ、2865台を配布し、135台を備蓄していると明かした。

「あと数日分しかなく、これ以上私が保証できることは何もない。それははっきりさせておきたい」と、デブラジオ氏は記者団に述べた。

アメリカ国内の状況

ニューヨーク以外でも、首都ワシントンやミシガン州デトロイト、ルイジアナ州ニューオーリンズなどの都市で感染者や死者が増えている。市民の約90%は何らかの隔離措置下にあり、自宅待機を求められている。

各州の知事は、人工呼吸器やマスクなどの必要な医療品が、極度に不足していると警告し続けている。

ニューヨーク州と接するニュージャージー州では5日、新たに3000人の感染が確認され、感染者数は合わせて3万7505人に上った。同州の新型ウイルスに関連した死者は917人に上っている。

新型ウイルスの影響を最も受けている州の1つ、南部ルイジアナ州では5日、感染者数が3010人増えた。これまでに477人が死亡している。

3番目に影響を受けているミシガン州の当局は5日、これまでに1万6000人近くが感染し、617人が死亡したと発表した。同州の主要なホットスポットとなっているデトロイトでは5000人近くが感染、158人が死亡している。

アダムス公衆衛生局長官は、カリフォルニア州やワシントン州では感染軽減の取り組みによって、感染速度の低下が見られるとした。

一方で、公共の場でのマスク着用を含む連邦政府による保健指針を、誰もが順守しなければならないと警告。「誰もが今後30日間、自分たちの役割を果たせば、このトンネルの先に光が待っている」ことを理解してほしいと述べた。

その他の動き

  • 主に南部や南西部などの9つの州が封鎖措置の実施に反対しているため、それ以外の複数の知事が、トランプ大統領は国家的「自宅待機」命令を出すべきだと主張
  • ニューヨークのブロンクス動物園で、飼育されているトラなど複数のネコ科の動物が、COVID-19の症状を発症した。飼育員からうつったとみられている
  • 米疾病対策センター(CDC)は3日、感染防止のため国民にマスクの使用を推奨したが、トランプ氏は「自分はしないと思う」と述べた

新型コロナウイルス特集

感染対策

在宅勤務・隔離生活

(英語記事 New York new virus cases 'dropping for first time'