ただ、手をこまねいているうちに感染爆発=医療崩壊という最悪の事態になれば、ダメージの極大化を招くことになる。それでは取り返しがつかない。

 緊急事態宣言は、むしろ新型コロナウイルス問題が解決された後を睨(にら)んで、経済のサバイバルに備えるために行うものだ。国民(ヒト)の生命の安全を確保するのが先決である。

 経済は一時的に停止するにしても生産・物流・販売の経済は再開に耐えられるように温存する。一時的なダメージは出るが、それは避けられないものだ。そうであるならそのダメージは極力コントロールしながら受け止める。それが「ダメージコントロール」にほかならない。

 珊瑚海海戦、ミッドウェー海戦などの航空戦の空母のようなものだ。空母というものは、攻撃力は強いが、防御力は脆弱(ぜいじゃく)である。

 航空戦で魚雷や爆弾を何発か受けても、空母の沈没といった最悪の事態は回避してドッグに帰港できるように被害をコントロールする。ドッグで緊急修理を経て次の航空戦に備える。ダメージを受けるのは避けられないと覚悟のうえで、サバイバルを最終目標にした「ダメージコントロール」を行う。

 経済のサバイバルには国民のサバイバルが前提になる。国民の生命を新型コロナウイルス感染症から守るには、緊急事態宣言、あるいは都市封鎖などやれることはすべてやる。それによって感染爆発=医療崩壊を全力で避けることが必要だ。医療がギリギリでも健在を保てるなら国民の大部分を守ることができる。

 経済のサバイバルを担保しながら経済を一時的に停止させる。その損失は膨大なものになるが、国と地方自治体で補償する。緊急事態宣言、あるいは都市封鎖による経済の打撃は覚悟して受ける。しかし、その「ダメージコントロール」を行ってサバイバルに耐えられる能力を守る。財政は大きく悪化するが、生産・物流・販売の経済が再稼働すれば元は取れる。
緊急事態宣言後、閑散とした東京・新宿の横断歩道=2020年4月7日
緊急事態宣言後、閑散とした東京・新宿の横断歩道=2020年4月7日
 国民も経済も守れないとしたら、後の歴史家から、国や東京都を筆頭に神奈川県、千葉県、埼玉県など地方自治体は国難(有事)対応を誤り、日本を衰退に導いたといわれるに違いない。

 新型コロナウイルスと正しく戦え、というのは簡単だが、敵の正体は見えず、戦う武器もない。それは「2枚の布マスク」が証明している。新型コロナウイルスという凶悪な敵と対峙する「戦時内閣」として、国民のサバイバル、そして経済のサバイバルに向けて有事に立ち向かうべきだ。