
2020年04月08日 14:02 公開
アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンは7日、アフガニスタン政府との交渉を打ち切ると発表した。両者の協議は今回が初めてだったが、タリバンは「得るものがなかった」と述べた。
アメリカとタリバンは今年2月、米軍の撤退やタリバンとアフガニスタン政府の捕虜交換を盛り込んだ合意文書に署名。同国の和平に向けた一歩と目されていたが、捕虜交換をめぐって話し合いが決裂した。
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タリバンは、政府側が捕虜の解放を遅らせようとしていると非難した。一方、政府はタリバンの要求は理不尽なものだと述べた。
政府の交渉チームに所属するマティン・ベク氏によると、タリバンは「大規模な攻撃」に関与したとされる司令官15人の解放を要求してきたという。
「国民を殺した者を解放するわけにはいかない」とベク氏は述べている。
これに対しタリバンの報道官は、アシュラフ・ガニ大統領率いる政府は、「あれこれを言いわけをして」捕虜の解放を遅らせていると非難した。
アフガニスタン政府は、タリバンが攻撃を大幅に削減すれば、脅威の低い捕虜を最大400人解放するとしている。
アメリカとタリバンの合意には、タリバンの捕虜約5000人とアフガニスタン治安部隊の捕虜約1000人を交換することが盛り込まれていた。
しかしガニ大統領は、この合意にはアフガニスタン政府が関わっていないとして、5000人の解放を拒否。代わりに1500人の条件付き釈放を提示した。
捕虜交換をめぐる議論により、タリバンとアフガニスタン政府の協議も、当初予定されていた3月10日から4月1日までずれ込んでいた。
アメリカとタリバンの合意とは?
アメリカ軍は2001年の米同時多発攻撃の直後にアフガニスタンに侵攻。タリバンは政権を失ったが、その後19年にわたって争いが続いている。
近年ではタリバンが勢力を回復し、2018年には同国の3分の2で活動している。
ドナルド・トランプ米大統領は合意を受け、5月までに米兵5000人を撤退させると発表。また、タリバンの指導者と会談すると述べていた。
また、タリバン側の合意履行を条件に、米軍と北大西洋条約機構(NATO)の同盟国が14カ月以内に完全撤退することも盛り込まれている。
これに加え、アメリカはタリバンへの制裁を解除し、国連による制裁に対しても解除に向けて働きかけることを約束している。
一方、タリバンは、支配下にある地域でアルカイダなどの過激派組織の活動を認めないことに同意した。
しかしアメリカ側は、実質的に戦争状態にあるタリバンとアフガニスタン政府が協議し、捕虜交換を行うのが合意履行の第一歩だとしていた。
この合意にはアフガニスタン政府は関与していない。