2020年04月09日 12:46 公開

イギリスのリシ・スーナク財務相は8日夜、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)で入院中のボリス・ジョンソン首相の容体が「快方」に向かっていると発表した。

ジョンソン首相は3月末にCOVID-19を発症。4月5日にロンドンのセント・トマス病院に入院し、6日夜からICUに入っている。

スーナク財務相によると、ジョンソン氏は病床で上体を起こすことができ、医療チームと「前向きにやりとり」しているという。首相官邸も、ジョンソン氏は「順調に回復している」ものの、なお集中治療室にとどまっていると発表した。

一方イギリスではこの日、COVID-19が原因で病院で亡くなった人の数がこれまでで最多の938人に上った。

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保健省の発表によると、全体での死者は7097人。これまでに23万2708人が検査を受け、うち6万733人の感染が確認されている。

しかし、政府の副主任科学顧問を務めるアンジェラ・マクリーン教授は、新たな感染者の数は「手の付けられないほど急増」しているわけではないと説明した。

その一方で、国民保健サービス(NHS)イングランドのスティーヴン・パウィス医療主任は、今はまだ「慢心」する段階ではないとくぎを刺した。

「やっと(政府のロックダウン政策の)効果が見え始めたところだと思う。しかし、引き続き指示に従い、他人との距離を取ることが非常に重要だと思う。そうでなければ、ウイルスがまた拡散し始める」

ロックダウンは続くのか

スーナク氏はまた、9日に開かれる緊急治安閣僚会議(COBRA)で、ロックダウンについての検討を「どう行うか」を協議することを明らかにした。

政府の新型ウイルス対策法では、保健相は一連の制限について少なくとも21日ごとに再検討する必要がある。現在のロックダウンは3月23日に始まり、4月16日まで続く。

スーナク氏は、再検討は3週間目「前後」で行う予定だが、その根拠となる科学的証拠は「来週にならないとそろわない」と説明した。

その上で、「未来についてあれこれ推測するより、現在、今、この場所で何をすべきかに真剣に注目すべきだ」と付け加えた。


慈善団体にも補償

スーナク氏はさらに、パンデミック(世界的流行)によって運営難に陥っている慈善団体の支援に7億5000万ポンド(約1012億円)を振り向けると発表した。

これは、今回の危機の中でも必要なサービスを提供している慈善団体に対し、現金を支給するもの。慈善団体の多くはチャリティーショップなどで資金を得ているが、ロックダウンに伴いそれが困難になっている。

一方でスーナク財務相は、「全ての職業、全ての企業、全ての慈善団体」を残らず救うことは「単純に言って不可能だ」とも話した。

全国ボランティア組織評議会(NCVO)のカール・ワイルディング会長は、この支援は重要な第一歩だと歓迎した半面、「全国の素晴らしいチャリティーが閉鎖に追い込まれるのを防ぐには十分ではないだろう」と警告した。

ワイルディング氏の試算によると、3月から6月までの間に全体で40億ポンドの資金援助が失われており、さらにコスト増にも見舞われている。

イギリスのその他の状況は以下の通り。

  • ロンドン北郊ルートンの介護施設で、入居者15人が亡くなった。うち5人は新型ウイルスに感染しており、残りの10人は未検査だったという
  • 犯罪防止の慈善団体「クライム・ストッパー」は、警察に報告したロックダウンの違反件数が500件以上に上っていると発表した。これには感染者の外出、せきをして感染させるという脅迫、パーティーの計画などが含まれている
  • ロンドンでは、バスの運転手9人を含む14人の公共交通機関職員が新型ウイルスで亡くなっている
  • イギリスの大手スーパーでは買い占めが減り、徐々に在庫が戻っている。ただし、大手テスコは、宅配サービスの需要には応じ切れておらず、引き続き店舗で買い物をしてもらうよう呼びかけている

<解説> 「イタリアの最悪の日に近づいている」 ――フィリッパ・ロクスビー、BBC保健担当記者

イギリスでは8日、COVID-19による1日当たりの死者が938人となり、最多を更新した。ただ、長期的な傾向では死者数は3~4日ごとに2倍になっていたが、それから見れば予想よりも少なかったことになる。

イタリアでは3月27日に1日当たりの死者数が最大になった。イギリスは今、その日に近づきつつある。

イタリアでの死者は1万7127人、同じく被害の大きいスペインは1万4555人だ。両国とも1日当たりの死者数は減少傾向にあり、慎重さは求められるが希望が見えてきている。

ではイギリスはどうなるのか? 1日当たりの感染者数が検討材料になるかもしれない。先週は、新しい感染者は4000~5000人と比較的横ばいで推移していた。

一方で、政府がNHS職員や入院患者に対する検査を拡大したため、毎日の検査数も増加している。その中での横ばいという事実は、トンネルの向こうに光が見えていることを示唆しているのかもしれない。

COVID-19で病院に運ばれ、ICUに入っている人の数も、少しずつ減ってきている。

さらに他者と距離を取る施策が始まって3週間がたとうとしている今、亡くなる人の数も今後、同じような傾向をたどると期待していいかもしれない。


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