2020年04月09日 13:52 公開

世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は8日、アメリカのドナルド・トランプ大統領が「WHOは中国寄り」と批判したことを受け、新型コロナウイルスを「政治化しないで」と述べ、団結を強く求めた。

テドロス氏はこの日、トランプ氏の批判を一蹴し、「我々はすべての国家と密接な関係にある。我々は肌の色で区別などしない」と主張した。

トランプ氏は7日に初めてWHOの新型ウイルス対策を「中国寄り」と批判。翌8日の記者会見では、WHOは「優先順位を正す」必要があると述べた。

アメリカは、WHOへの最大の資金拠出国の1つ。WHOのデータによると、WHOの全体の予算の15%を負担している。

トランプ氏は、今後も拠出を継続するかどうか判断するために調査するだろうとしている。

また、8日夜には、マイク・ポンペオ米国務長官が、政権は「WHOへの資金拠出を見直している」とし、「WHOは仕事をしなければならない。求められている成果を出さなければならない」と述べた。

トランプ政権は新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)への対応をめぐり批判を受けている。

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新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」は、昨年12月、中国・湖北省武漢市で発生した。同市は8日、2カ月半にわたった都市封鎖(ロックダウン)を解除した。

テドロス氏のアドバイザーは以前、初期段階でCOVID-19について知るうえで、中国と緊密に連携することが「絶対的に不可欠」だったと述べていた。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、日本時間9日午前11時半時点の世界の感染者数は148万人を超え、8万8000人以上が死亡している。

「政治と切り離すべき」

テドロス事務局長は8日の記者会見で、「国家レベルでの団結をお願いしたい。COVID-19を政治に利用しないでほしい」と述べた。

そして、「2つ目に、世界レベルでの誠実な連帯、そしてアメリカと中国からの誠実なリーダーシップをお願いしたい」と続けた。

テドロス氏は、「最も力のある国は先頭に立って、COVID-19と政治を切り離すべきだ」と訴えた。トランプ氏のWHO批判を受けた発言とみられる。

新型ウイルス対策「台無しに」

トランプ大統領は7日、ツイッターで、WHOの新型ウイルス対策が「すごく中国に偏っている」とする批判を展開していた。

「WHOは新型ウイルス対策を本当に台無しにした。何らかの理由で、アメリカが大部分の資金を提供しているのに、いまもウイルス対策はすごく中国中心だ。我々は事態を注視することになるだろう。幸い私は、早い段階で中国からの入国を認め続けるようにとのWHOの助言を拒否した。なぜWHOはこのような欠陥のある勧告をしたんだ?」

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1247540701291638787

トランプ氏は、「WHOは誤った呼びかけをした。WHOは本当に、呼びかけに失敗した。(中略)だから我々は、WHOへの資金拠出を停止する方針だ。我々は非常に強力な停止をかけるだろう」と述べた。

テドロス事務局長は8日、アメリカからの拠出は今後も続くと信じていると述べ、資金面の脅威を小さく見せようとした。

WHO擁護の声も

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、テドロス氏の発言に先立ち、WHOを擁護する姿勢を見せていた。

グテーレス氏は、新型ウイルスのアウトブレイク(大流行)は「前例のないもの」だとした上で、どのような対処がなされたのかを評価するのは、今後の課題にすべきだと述べた。

「今は団結する時だ。国際社会が連帯して、新型ウイルスの感染拡大と破壊的な影響を止めるために共に取り組む時だ」

フランスのエマニュエル・マクロン大統領もまた、WHOへの支援を申し出たと報じられている。

ロイター通信は、仏政府関係者の話として、マクロン大統領が「WHOへの信頼と支援を再確認し、WHOが中国とアメリカの争いに巻き込まれるのを認めていない」と報じた。


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(英語記事 WHO chief calls for end of virus 'politicisation'