2020年04月12日 20:21 公開

マーク・イーストン、 BBC社会担当編集

イギリスでは3月23日夜から、新型コロナウイルス対策のためのロックダウン(都市封鎖)が始まった。その結果、1週間以上たった時点でイギリス国内では「とてもつらい」と感じている人たちが全体としては少数派ながら、相当数いることが世論調査で分かった。

キングス・コレッジ・ロンドンと調査会社イプソス・モリが3月末から4月初めにかけて実施した世論調査では、イギリス国内の15%が、すでにロックダウンによる制限を非常につらく感じ、さらに14%が4月中のどこかの時点で、対応しきれなくなると予想しているという結果が出た。

その一方で、10人中9人がロックダウンの必要性を認め、感染予防のため家の外では他人との間に2メートル以上の距離を開ける「社会的距離」対策や、頻繁に手を洗うなどの政府の指示に従うよう努力してきたと答えた。

成人2250人を対象にした調査では、ロックダウン開始から1週間あまりですでに一部の家庭でつらく苦しい思いをしていることが明らかになった。

回答者の49%は、ふだんより不安で気分が落ち込んだと答えた。38%はよく眠れないと答え、22%がすでに経済的にかなり大変な思いをしているか、近い将来確実にそうなると答えた。

労働者のうち16%は、すでに職を失ったか、近い将来かなりの確率で失職すると答えた。

厳しい外出制限を負担に感じるのは高齢者よりも若者が多く、16~24歳の24%が、ロックダウンに従うのはとても大変だと答えた。これに対して45~75歳で、外出制限がつらいと答えたのは11%にとどまった。

生活維持のために必要不可欠な場合を除いては外出しないよう政府に指示され、違反すれば罰則の対象になるというイギリスのロックダウンが、心理的にどういう負担になっているかも、この調査で明らかになった。

19%は同居人との口論が増えたと答え、同じくらいの人がいつもよりアルコールを多く飲んでいると答えた。約3割は、以前より食べる量が増えたか、前と比べて健康に気を遣わない食べ方をするようになったと答えた。

ロックダウンでそれぞれが大変な思いをしている一方で、地域の助け合いの精神は高まっているようだ。60%の人が近所の人を助けようと志願したと答えた。また47%が地元コミュニティーから支援を受けたという。

回答者の41%は、ロックダウンが少なくともあと6カ月は続くだろうと答えた。生活が普段通りに戻るには1年以上かかるだろうと答えた人は、51%に達した。

それでも市民の多くは、医療機関を守りウイルスの感染拡大を防ぐための様々な規制に、理解を示している。ロックダウンに反対だと答えた人はわずか5%で、逆に68%は「家から出ないで」という政府の指示を強く支持すると答えた。

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回答者の60%は、できる限り家から出ないという政府の指針を「完璧に守った」と答え、27%はほとんど常に守ったと答えている。政府の指示を無視したという人は1%だけだった。

家の外では他の人から2メートル離れ、人が大勢集まる場所は避け、20秒以上は手を洗うという呼びかけも、効果的だったようだ。10人のうち9人が、政府のこうしたガイダンスに従ったと答えている。

政府が求める行動制限をほぼ全員が支持し、従ったというこの調査結果に、政府はホッとするはずだ。ロックダウンはまだ当分続くと予想されるだけに、感染対策に従っているのは自分だけでなく、世間の大半がそうなのだと広く認識されることが、世間の秩序を保つには大事だからだ。

また、政府の主な呼びかけ内容は、世間に理解されているようだ。ただし、根強い誤解がいくらか残っていることも、調査で判明した。新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」より、季節ごとのインフルエンザの方が致死率が高いと考えている人は15%、イギリス国内の「ほとんどの人」が気づかないうちに新型ウイルスに感染していると考える人は31%に上った。

新型コロナウイルスが「たぶん実験室で作られた」という陰謀論を信じている人は、25%だった。この新型ウイルス人造説をはじめ、複数の陰謀論がフェイスブックやYouTubeといったソーシャルメディアで出回っている。

こうした世論調査によって、政府はどういう内容について分かりやすいはっきりした情報発信が不十分なのか、理解することができる。

買い物について39%の人が、「長い行列を避けるため、少しずつこまめに」買いに行くべきだと考えているのは、当局にとって懸念される結果だろう。買い物は「少しずつこまめに」ではなく、生活必需品だけを必要最低限の頻度で買いに行くように――というのが、政府のメッセージだ。

COVID-19について「みんな騒ぎすぎ」と答えた人は、12%にとどまった。2009年の新型インフルエンザ大流行の時は、騒ぎすぎだと答えた人は55%に上っていた。

今回の世論調査では、イギリス政府の対応をどう思うかについても意見を聞いた。新しいウイルスについて科学的知見をはじめ様々な情報が次々と変わる状況に、閣僚はよく対応したと58%が答えたのに対し、42%は政府の対応が混乱しており一貫性がなかったと答えている。

(英語記事 Coronavirus: Significant minority find lockdown 'extremely difficult', poll suggests