2020年04月13日 15:30 公開

米政府の新型コロナウイルス対策を主導している、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ博士は12日、アメリカがもっと早くに感染防止策を導入していれば「人命を救えたかもしれない」と述べた。米CNNが報じた。

ファウチ博士は、米CNNに対し、「我々が、感染が始まった当初からすべてを閉鎖していれば、少しは違った結果になっていたかもしれない」と述べた。一方で、封鎖措置は難しい判断だったとした。

また、米国内の一部地域について、早ければ5月には通常に戻り始める可能性を示唆した。

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ドナルド・トランプ政権は3月16日に、周りの人と一定の距離を保つ「社会的距離」戦略を導入した。実施期間は4月末まで延長されている。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計(日本時間13日正午時点)によると、アメリカでは55万7000人以上が感染し、2万2000人以上が死亡している。その多くはニューヨークで確認されている。

ファウチ氏の主張

ファウチ博士とほかの当局者が、2月末にむけて感染防止の積極的措置を示唆していたとする、米紙ニューヨーク・タイムズの報道について問われると、ファウチ氏は、保健当局は「純粋な公衆衛生上の観点」から提言することしかできないと述べた。

「通常、こうした提言は採用される。時には採用されない。しかし、それはそういうものだし、我々はいまこういう状況にある」

また、論理上、より早期の措置導入が人命を救った可能性を「否定する人は1人もいないだろう」と付け加えた。

一方で、「当時、様々なものを閉鎖することについて、多くの反対があった」と明かし、「こういった類の決定は複雑」だとした。

https://twitter.com/CNNSotu/status/1249330296924835840?s=20

ファウチ氏はまた、現在の米国内の状況には、措置の導入時期だけでなく、国の規模など複数の要因が絡んでいることを認めた。

一方で、国内の一部地域について、「少なくともいくつかの点で、おそらく来月には」ゆっくり平常時へと戻り始めることができるかもしれないと述べた。

ファウチ氏は、新型ウイルスの封じ込め対策をいきなり終了すれば、感染が再び拡大する可能性があると指摘。「急激に物事を進めたくはない」と強調した。

「(措置の解除は)居住地域や、すでに国民が経験しているアウトブレイク(大流行)の性質、そしてまだ経験していないであろうアウトブレイクの脅威次第で変わってくるだろう」

11月3日に予定されている米大統領選挙について、ファウチ氏は、国が制限緩和にむけて慎重なアプローチを取れば、予定通り実施できるだろうと述べた。

ニューヨークの状況は

米ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は12日の記者会見で、同州の経済活動を「できるだけ早期に」再開させたいが、近隣の州との協調的アプローチやより多くの検査の実施、そして連邦政府による追加の資金提供が必要だとし、慎重な姿勢を示した。

また、いかなる予測にも懐疑的で、「これまでの専門家による、情報に基づいた今後の見通しは、結局どれも正しくなかった」と述べた。

これは、政策や社会的コンプライアンスがここ数週間で変化をもたらしたことを示しており、良いニュースだとした。

「私は、感染が確認された初日から言ってきているが、5月に経済活動を開始するとか、6月にそうするとか、こういったあらゆる見通しは時期尚早だと思う。現時点で、誰も情報に基づいた判断を下すことはできないと思う」

ニューヨーク州ではこれまでに新型ウイルスに17万4000人以上が感染し、9380人以上が死亡している。

クオモ氏は、死者の増え方が安定しつつあるが、「恐ろしい数字で安定しつつある」としている。過去24時間では758人が死亡した。ここ数日の間は、死者数が700人台で推移している。

米国内の感染防止策は緩和されるのか

米食品医薬品局(FDA)のステファン・ハーン長官によると、ホワイトハウスは、依然として「社会的距離」戦略を緩和したがっており、5月1日を目標としているという。

ハーン長官は12日、米ABCニュースに対し、「我々には、このトンネルの先に光が見える」と述べた。

また、現在の制限内容の変更については、最終的に安全面と福祉の面を考慮して決定されるだろうとした。

ハーン氏などの複数専門家は、新型ウイルス検査の実施件数を増やすことが、同国の経済活動再開の鍵になると見ている。しかしトランプ大統領は、幅広いウイルス検査の実施の必要性を過小評価している。

ニューヨーク州のクオモ知事とニュージャージー州のフィル・マーフィー知事は共に、さらなるウイルス検査の実施を求めている。

クオモ氏は12日、COVID-19(新型コロナウイルスによる感染症)の免疫を証明し、職場復帰できるようにするための抗体検査の対象者を拡大する行政命令に署名すると発表した。

各州が新型ウイルスの感染拡大防止の取り組みを継続する中で、いつ米政府が感染防止対策を緩和するのか、疑問が浮上している。

ホワイトハウスのジャッド・ディア副報道官は、トランプ大統領が11日にワイオミング州に対し、大規模災害を宣言したと発表した。これにより、史上初めて全50州に大規模災害が宣言された。


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