田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 国民の経済的負担を解消する努力をすることなく、安っぽい精神主義が政治家界隈でどうやら流行しているようだ。典型例が4月13日の自民党役員会に表れている。

 その後の会見で、二階俊博幹事長は「新型コロナウイルスに対する国民の奮起、戦うということに対して、しっかり支援していくということだ」と述べ、国会議員の給与にあたる歳費の一部返納を表明したのである。まさに、国民を小ばかにした精神主義の見本である。

 東日本大震災のときにも同様の動きがあった。具体的には、国会議員歳費減額特例法の成立で、歳費の一部が復興対策の財源に充てられ、菅直人内閣の閣僚給与も自主返納に至っている。

 その際、この精神主義が復興増税構想に結びついていった。構想は、2012年の民主、自民、公明の3党合意で成立した社会保障と税の一体改革関連法によって、消費増税路線に結実していく。

 今回も、二階氏が野党にも歳費返納を呼び掛けた。結局、1年間2割削減で自民・立憲民主両党が合意したが、まるで、将来の増税路線も呼び掛けているようにも思える。

 国民の中で、政治家たちのこのような歳費削減を喜ぶ姿勢があるとしたら、深く反省した方がいい。政治家に対して、きちんと歳費に見合った仕事を求めればいいだけである。

 あなたは給料を減らされながら、前よりもっと働けと言われて、やる気を発揮できるだろうか。自分にはできないことを政治家だけができると考えるとしたら、よほどおめでたいと思う。

 このように、国民側にも厳しい言葉を投げ掛けたのは、安っぽい精神主義を国民側が受け入れる土壌があるからこそ、二階氏のような発言が出てくるからだ。要するに、軽薄なポピュリズム(大衆迎合主義)なのである。
安倍晋三首相との面会を終え、記者団の質問に答える自民党の二階俊博幹事長=2020年4月8日(春名中撮影)
安倍晋三首相との面会を終え、記者団の質問に答える自民党の二階俊博幹事長=2020年4月8日(春名中撮影)
 大衆迎合だったとしても、国民の生活が向上すればいい。だが、議員の歳費返納は国民の生活向上に一切結びつかない、ただの政治的ポーズでしかない。