新型コロナウイルスの感染拡大によって、われわれ国民の生活は疲弊し、苦しさを増している。この状況を打開するのは、適切な経済対策を実行するしかない。つまり、政府がきちんとおカネを出し、われわれの生活を防衛することが必要なのだ。

 だが日本では、官僚主義による弊害が著しく、財務省の緊縮主義が危機の中でも威力を発揮している。国民は感染の脅威と同時に、この財務省の「緊縮病」とも戦っていかなければならない。

 それほど、財務省の緊縮病は頑強である。これは筆者の推測だが、既に増税路線に向けた政治的な仕掛けが動いていてもおかしくはない。

 今回の緊急経済対策に関して、補正予算案が提出されている。追加の歳出は総額約16兆8千億円で、全額を国債発行で調達する。

 今、国債を追加発行すれば、日本銀行が民間を経由する形でほぼ吸収するだろう。政府と日銀は統合政府なので、言ってみれば、同じ家計の中での貸し借りでしかない。

 統合政府のバランスシート(貸借対照表)を見れば、資産と負債がちょうどバランスするだけになり、「財政危機」の心配はない。むしろ、日銀は公式見解でも、政府が国債発行という手段で積極財政を展開すれば、無理なく支援できると表明している。

 感染期の生活を支える経済対策を行い、感染期から脱した後には、より積極的な財政と金融政策の協調で、この難局からV字回復を遂げていく、これがベストシナリオである。具体的な手段としては、国民一人当たり10~20万円を給付し、消費税率を8%に引き下げることを基軸とし、もろもろの支援策を組み合わせるのが望ましい。

 だがご存じのように、今の政府は所得制限付きの給付金などで政策効果を著しく減退させてしまっている。しかも、財務省はタイミングを見て、増税路線への転換を図ろうとしているのではないか。

 4月13日の衆院決算行政監視委員会で、麻生太郎副総理兼財務相は2025年度までのプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化目標を放棄しないと言明している。簡単に言えば、プライマリーバランスは、今回の緊急経済対策のような、その都度の政策的な支出が、その都度の税収で賄えているかどうかを示す。
衆院決算行政監視委員会で答弁を行う麻生太郎副総理兼財務相=2020年4月13日(春名中撮影)
衆院決算行政監視委員会で答弁を行う麻生太郎副総理兼財務相=2020年4月13日(春名中撮影)
 黒字であれば「税収>支出」であり、赤字であれば逆になる。現在のプライマリーバランスは赤字である。