2020年04月15日 13:44 公開

動物を救うため、まもなく別の動物を餌にしなくてはならない――。新型コロナウイルス流行による閉鎖で苦境に陥ったドイツの動物園が、経済的な支援を訴えている。

ドイツ北部ノイミュンスターの動物園は例年、イースター(復活祭)の休日には多くの来場者でにぎわった。しかし今年は都市封鎖(ロックダウン)により人の姿がなく、収入が激減している。

ヴェレナ・カスパリ園長は、「最初に殺すことになる動物のリストを作った」と、ドイツ紙ディ・ヴェルトに話した。

カスパリ氏は、動物の生存のために他の動物を殺すのは最後の手段で、「不快な」ものだと説明。しかし、それでも経営問題は解決されないだろうと述べた。

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カスパリ氏によると、アザラシとペンギンが特に食欲が旺盛で、大量の新鮮な魚を必要とする。

「その時が来たら、動物を飢え死にさせるより安楽死させる」とカスパリ氏は述べ、こう付け加えた。

「最悪の場合、一部の動物を他の動物の餌にしないとだめだろう」

動物園は休眠できない

ノイミュンスター動物園が加盟する協会は、国の小規模事業者向けの緊急対策基金の補償対象にはなっていない。

同園のこの春の収入減は、約17万5000ユーロ(約2000万円)に上るとみられている。

ドイツ国内の動物園は一般に募金を呼びかけているほか、政府に対して共同で1億ユーロ(約118億円)規模の経済支援を求めていると、ドイツDPA通信は報じている。

ドイツの全国動物園協会(VdZ)は動物園について、他の業種と異なり、休眠状態に入ってコストを削ることができないと主張。動物は毎日、食事と世話を必要とし、熱帯動物のエリアは気温20度以上に保つ必要があるとしている。

VdZのイェルク・ユンホルト会長は、ロックダウンによる収入減で、典型的な動物園は週に50万ユーロ(約5900万円)の損失を出していると話した。


ベルリン動物園にはパンダの双子の赤ちゃんがいるが、ファンたちはオンラインでしかその姿を見ることができない。

同園の広報フィリーネ・ハッハマイスター氏はDPA通信に、「再開時にはもうパンダが大人になっていた……などという事態は避けたい」と話した。

ドイツ以外の動物園も苦境に直面している。

オーストリア・ウィーンの人気観光地となっているシェーンブルン動物園は、蓄えを切り崩して当面はしのげるとしている。ただ、4月1日には従業員230人の7割を休職にしている。


人間を恋しがっている

飼育員からは、通常の世話を受けられない動物が、精神面で影響を受けているとの懸念が出ている。

ベルリン動物園のハッハマイスター氏は、「サルは特に人の姿を見るのが大好きだ」と言う。

同氏によると、アザラシとオウムは普段「来客」を楽しんでいるため「今はかなり退屈している」。

ロシアのモスクワ動物園も先週、ジャイアントパンダ2頭が「何かを恋しがっている」とし、「囲いの前を通り過ぎる人に一段と積極的に反応するようになっている」と述べた。


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(英語記事 German zoo may have to feed animals to each other