2020年04月16日 16:29 公開

15日に投開票が行われた韓国の総選挙(定数300)で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領率いる与党「共に民主党」が180議席を獲得して圧勝した。

韓国で左派政党が過半数を獲得するのは、16年ぶり。文政権の新型コロナウイルス対策が、有権者の支持を得たとみられる。

今回の選挙は、新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)が始まって以降の国政選挙として、特に早いもののひとつ。

選挙が予定通り行えるよう、厳しい感染防止策や社会的距離措置が導入された。

35党が候補者を登録したが、革新系「共に民主党」と保守系の最大野党「未来統合党」の一騎打ちとなった。

未来統合党は103議席を獲得。2016年に脱北した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使は、同党からソウル市江南甲区で出馬し、当選した。

ローラ・ビッカーBBCソウル特派員は、経済が失速し、北朝鮮との交渉が行き詰まるなど、今年1月時点では文大統領率いる「共に民主党」の先行きは明るくなかったと振り返る。

こうした中、新型ウイルスに対抗するために、政府は積極的な追跡調査やウイルス検査を実施。1日あたりの感染者数は、感染のピークだった2月下旬の約900人から約30人まで減少し、感染拡大を食い止めることに成功した。

「共に民主党」は、この効果的な対応を今回の総選挙で大きく掲げた。その結果、文政権に、1987年の大統領直接選導入以降で最大の過半数獲得をもたらしたと、ビッカー特派員はみている。

投票時の感染対策は

新型コロナウイルスの感染防止のため、有権者はサニタイザー(消毒剤)で手を清潔にし、マスクとビニール手袋を着用し、他人と少なくとも1メートルの距離を保ち、検温を受けるよう求められた。

体温が37.5度以上ある場合、仕切られたブースで投票しなければならなかった。このブースは、1使用ごとに消毒が行われた。

若い女性有権者はビッカー特派員に対し、「投票しに来る人がいないだろうと思い、選挙を延期すべきだと考えていた。でもここに来てみたら、大勢の人がいたので心配はしていない」と述べた。

韓国国内では現在、約6万人が隔離されている。しかし、選挙権の年齢を初めて18歳まで引き下げたこともあり、投票率は66%を超えて過去18年で最高となった。

有権者の26%は、郵送または10日と11日に隔離施設に設置された投票所で期日前投票を利用した。

新型ウイルス検査で陽性反応が出た人は、特定の時間に特定の指定場所でのみ投票が許された。また、公共交通機関の利用は禁止され、徒歩か自家用車での移動のみ認められた。

ソウル市龍山区のソン・ジャンヒョン区長はBBCに対し、「誰もがこの状況がいかに深刻か認識し、文句を言うのではなく、選挙当局者を励ますなど、分別のある市民性を示してくれた」と述べた。

韓国国内の新型ウイルスの流行状況は一時、世界で2番目に甚大な状態だった。しかし、広範なウイルス検査や徹底した接触者追跡、幅広い社会的距離の実施などで、新たな感染者の増加を抑えることに成功した。

韓国は、朝鮮戦争の最中に実施された1952年大統領選を含め、これまで1度も選挙を延期したことがない。

(英語記事 Landslide victory for South Korean ruling party