2020年04月18日 12:10 公開

新型コロナウイルスの発生源となった中国・武漢市は17日、COVID-19による死者数を新たに1290人報告した。病院外での死亡例を含めたためで、これにより同市での死者は当初の発表の1・5倍に当たる3869人となった。

中国政府はかねて感染者数や死者数に偽りはないとしているが、新型ウイルスの感染状況を低く報告しているとの批判が出ている。

今回の報告で、中国全体の死者数も4600人以上となった。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、中国では世界で7番目に多い8万4000人近くが感染している。

人口1100万人を抱える武漢市では1月以降、数カ月にわたって厳格なロックダウン(都市封鎖)が実施されていたが、今月初めに解除された。

しかし、新型ウイルスは中国経済に大きな打撃を与えている。2020年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)の実質成長率は前年同期比6.8%減と、1992年の統計開始以来で初めてマイナス成長となった。

<関連記事>

死者数の増加、当局の説明は?

武漢市当局は声明で、葬儀会社や刑務所などから寄せられた新しい記録を元に統計を改定したと説明した。

COVID-19にかかった後、自宅など病院外で亡くなった人の数は、これまで記録されていなかったという。

声明では、「同市のCOVID-19流行に関する情報について透明性と正確性を守るため」に、「統計上の確認作業」を行ったとしている。

また、当初は市の保健システムが飽和しており、数え間違いや見落としなどが起きていたと付け加えた。さらに、検査能力が足りていなかった初期に関しては、多くの感染者が確認できていなかったという。

中国政府・国家衛生健康委員会の報道官は、新たな死者数は流行データの「包括的な再評価」によって出ていたものだと話した。

一方、中国外務省は統計の隠ぺい疑惑について、ドナルド・トランプ米大統領が特に声高に主張するこうした疑惑は、全く証拠のないものだと反発。「どんな隠ぺいも許していない」と強調した。

中国の対応に批判の声、ロックダウンには称賛も

中国政府は昨年12月に、武漢で流行し始めた謎の肺炎について調査を開始。12月31日に世界保健機関(WHO)に報告した。

しかし、WHOの専門家が中国での調査を認められたのは2月10日で、それまでに中国では4万人の感染者が出ていた。

流行の中心地となった武漢の市長も、感染者が100人ほどだった1月上旬から都市封鎖(ロックダウン)の行われた23日までの間、対応が不十分だったと認めている。

この時期には、重症急性呼吸器症候群(SARS)に似たウイルスについて同僚らに注意を喚起しようとした、武漢中心医院の眼科医、李文亮氏ら「内部告発者」が、警察によって沈黙を強いられた。李氏はその後、COVID-19で死亡した。

こうした中で中国政府は、武漢市内の研究所からウイルスが漏れたというアメリカの主張に大きく反発している。

BBCのバーバラ・プレット・アッシャー記者によると、トランプ大統領をはじめ一部の米高官が、新型ウイルスの発生源や流行への対応にまつわる中国とのプロパガンダ合戦の一貫で、通説とはほど遠いこの研究所漏洩説を吹聴している。

トランプ氏はまた、WHOが中国寄りだとして、資金提供を取りやめると発表した。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領や、療養中のボリス・ジョンソン英首相の代行を務めているドミニク・ラーブ外相も、中国の対応や報告に疑問を投げかけている。

一方、中国が前例のない移動制限に踏み切ったことで、新型ウイルスの感染拡大が緩やかになったという評価の声もある。

WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、中国が「アウトブレイク(大流行)を速やかに検出したこと」や「透明性に向けた努力」を称賛した。


<分析>スティーヴン・マクドネル中国特派員

武漢市でのCOVID-19による死者数は、ほぼぴったり50%増加した。一部のアナリストは、これはあまりにぴったりしすぎているのではと首をかしげている。

中国当局による新型ウイルスの統計については、ここ数カ月にわたって多くの疑問が指摘されてきた。

当局が故意に死者数や感染者数を低く発表し、非常時に上手に対応していると見せかけていたというのがその推論だ。

もし本当にそうだとすると、中国当局は新型ウイルスが他国にどれほど深刻な被害を与えるか知らずして、国内の数字をあり得ないほど少なく報告したことになる。

最初にアウトブレイクが発生した武漢市の当局者は、データを故意にいじっていたのではなく、今になって状況が落ち着いたところで、記録を再点検し、見落としていた人数を追加する余裕が生まれたのだと話す。

新たな死者数は、中国経済がマイナス成長に入ったというニュースと同じタイミングで発表された。これについて、何か別のニュースを隠ぺいしようとしているのではと疑う声もある。

あるいは、これも全くの偶然なのかもしれないが。

(英語記事 China increases death toll in outbreak city by 50%


新型コロナウイルス特集

感染対策

在宅勤務・隔離生活

(英語記事 Coronavirus: China outbreak city Wuhan raises death toll by 50%