2020年04月19日 10:52 公開

日本で新型コロナウイルスの感染者が増加する中、各地の医師会などから、医療システムが崩壊する可能性があるとの指摘が出ている。

複数の医師によると、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」に対応する負荷が原因で、一部の重篤患者を緊急治療室で治療できない状況になっている。

中には、新型ウイルスの症状が出ている患者を救急車が搬送したものの、診察が受けられるまでに80カ所の病院で受け入れを断られたケースもあったという。

日本は一時期、新型ウイルスの流行を封じ込めたかのように見えていたが、18日には確認されている感染者数が1万人を超えた。

死因がCOVID-19だと確認された国内の死者は、200人超。感染被害は首都・東京で特に深刻化している

こうした状況で日本医師会は18日、記者会見を開き、医師会の中に臨床医を中心にした有識者会議を新設したと発表。実際に患者を診ている観点から、感染予防や重症者の治療、ウイルス検査の方法などについて提言していく方針を示した。

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東京では、医療システムへの負荷を軽減するため、各地域の医師会などが新型ウイルスの検査などの分野で病院を支援している。

杉並区医師会の多村幸之進副会長はロイター通信の取材で、「医療崩壊を防ぐための措置だ」と説明した。

「みんなが支援の手を差し伸べる必要がある。そうしなければ病院は崩壊する」

日本政府も、ドライブスルー方式を利用することで検査を拡大する方針を固めている。

日本ではここ数週間、他国よりも検査数が圧倒的に少ない状況が続いており、専門家からは感染拡大の状況が把握しにくいとの指摘が出ていた。

英オックスフォード大学のデータによると、3月に日本で行われたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査数は、韓国のわずか16%だった。

検査を広範囲に行うことでアウトブレイク(大流行)を抑え込んでいる韓国と異なり、日本政府は広範囲な検査は「資源の無駄」だと切り捨ててきた。

また、日本では新型ウイルスの検査実施は中央政府ではなく各地の保健所が担当してきたため、一部地域では大勢を次々と検査するだけの環境が整っていないという。

こうした中、安倍晋三首相は17日、これまでの方針を転換し、検査を幅広く行っていくと発表。「各地の医師会の協力を得て検査センターを設置する」と話した。

また、かかりつけ医が必要と判断した場合はセンターで検体を採取し、民間検査機関に送ることで保健所の負担を軽減すると説明した。

レインコートの寄付を呼びかける自治体も

日本政府は16日夜、新型ウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言の対象をこれまでの7都府県から全国に拡大。宣言の期限は5月6日までで、外出自粛などの要請を知事が出せるようになったが、罰則や法的な強制力は設けられていない。

緊急事態宣言は当初、東京や大阪などに出されていたが、各地で感染者の増加や医療機関の飽和といった報告が相次ぎ、知事から宣言を拡大してほしいとの要望が出ていた。

一方、日本救急医学会と日本臨床救急医学会は14日に共同の緊急声明を発表。「救急医療体制の崩壊をすでに実感している」と危機感を示した。

大阪市では、医療従事者向けの医療ガウンが足りず、市長が市民にレインコートや雨合羽を寄付するよう呼びかけている。


<解説> 政府の新型ウイルス対応に批判の声 ――マイケル・ブリストウ、BBCワールドサービス・アジア編集長

これは厳しい警告だ。

日本の2つの医学会が、新型ウイルスのアウトブレイクによって、病院がその他の重篤な急患を受け入れる余裕がなくなってきていると指摘した。

日本は他国に比べて感染が確認された人数が少ないが、病院はすでに患者を受け入れられなくなっている。

医療従事者からは医療ガウンやマスクなどの不足を訴える声が出ており、この国が新型ウイルスへの対応を準備していなかったことがうかがえる。日本は1月の時点で、中国以外で感染者が出た2番目の国だったにもかかわらず。

こうした中、経済への打撃を恐れて外出制限などの措置をもっと早く講じなかったとして、安倍首相に批判が集まっている。

もっと厳しい措置をもっと早くにと訴えていた東京の小池百合子都知事は、安倍政権と言い争いを繰り返してきた。

安倍首相がついに緊急事態宣言を全国に拡大したのは、4月16日のことだった。


(英語記事 Japan doctors warn health system may 'break down'