国内でも無能のレッテルを貼られる朴大統領


 とくに致命的なのは経済だけでなく、外交においても安倍外交に韓国が封じ込められた点である。

 4月29日、米国連邦議会上下両院合同会議において安倍首相が行なった「希望の同盟へ」と題する演説については、成功したとみて間違いない。スタンディングオベーションが14回に及んだことは、外交儀礼という見方もあるが、演説を終えて議場を引き揚げようとする首相に多くの議員が演説を讃えて握手を求めたため、安倍首相は十分以上も退出できなかった。

 これを苦々しく見ていたのが国ぐるみで安倍首相の演説阻止をめざした韓国であり、翌日30日には「正しい歴史認識を通じ、周辺国との真の和解と協力を成し遂げる転換点になりえたのに、そうした認識も心からのおわびもなく、非常に遺憾に思う」と韓国外務部は批判した。

 もともと韓国大統領選のとき朴槿惠(パク・クネ)大統領は、内政は未知数だが父である朴正熙(チョンヒ)大統領のファーストレディーを経験したことなどから、外交通であることをアピールして当選した。

 その“得意の外交”により、日本を世界から孤立させ韓国の地位を高めるどころか、韓国が世界から孤立していく状況が、安倍演説により明らかとなったことで、韓国世論は朴大統領に「無能」の烙印(らくいん)を押し始めている。

 『朝鮮日報』(4月24日)は「日本の後進外交、韓国の無能外交」と題し、4月30日には「韓国外交が、過去2年余りの無能と無気力から目覚め、国の生存戦略を立てて、これを行動に移していかなければならない時だ」と評し、さらに5月4日には「人事の刷新を通じて国を率いる力を取り戻さなければ、この政権は『無気力』という批判に晒され続けることになろう。そして結局は『無能な政権』という汚名をそそがざるをえなくなるのだ」と述べている。

 『中央日報』(2015年5月8日)は「朴大統領は(中略)慰安婦や歴史問題にこれ以上しばられて日本を冷遇し続ければ、韓国は米国からも孤立するだろう。(中略)日本の嫌韓の雰囲気は極みに達した。安倍首相の歴史修正主義や軍事大国路線をいくら非難しても何も変わらない。(中略)慰安婦への謝罪を拒否する安倍首相は道徳的に問題のある人だ。 それでも国益のためには悪魔ともダンスを踊らなければならない」と書いている。

 『ハンギョレ新聞』(5月14日)は「現在の東アジアの最大の不安要素は『安倍の歴史認識』や『金正恩の暴走』ではなく、『朴槿惠の無能』かもしれない」と痛烈に批判している。

 朴槿惠大統領は5月13日に榊原定征(さだゆき)経団連会長らと会談した際、歴史問題について言及しなかった。朴大統領が日本の要人と会談して歴史問題に触れないのはきわめて異例の対応であり、八方ふさがりとなる朴大統領が方向転換を迫られていることの表れともいえよう。