2020年04月22日 13:04 公開

イギリスのマット・ハンコック保健相は21日、英オックスフォード大学が開発した新型コロナウイルス向けワクチンの臨床試験が、23日に始まると発表した。政府は「全力をあげて」ワクチン開発を推進していると話している。

首相官邸での定例会見でハンコック保健相は、「新型ウイルス打倒の最善策」はワクチンだと説明。開発プロセスは「試行錯誤」の連続だが、イギリスはどの国よりも資金を投じており、開発をリードしていると話した。

一方、国民保健サービス(NHS)職員向けの防護用品不足については、何千もの供給業者と協議を進めているが、そのすべてから調達することはできないと話した。

イギリスではこの日、新たに823人が病院で死亡。全体の死者は1万7337人に上った。

21日午前9時までの24時間で行なわれた検査は1万8206件。政府は、1日当たりの検査能力は4万件近くに拡大しており、4月末までに10万件まで広げたいとしている。

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ハンコック氏は、インペリアル・コレッジ・ロンドンとオックスフォード大学で進められている2種類のワクチン開発について、臨床試験に向けて計4250万ポンド(約56億円)の支援をすると述べた。

「期待のかかっているこのプロジェクトは迅速に進められており、政府も全面的に支援すると伝えてある」とハンコック氏は話した。

「ワクチン開発に成功した最初の国になることはとても大きい。そのために全てを投じている」

一方で、医療現場の個人用防護用品(PPE)が不足しているとの批判には、政府の対策を擁護した。

ハンコック氏は、PPEを最前線に届ける計画は「前例のない」、「政府を横断するプログラムとしては見たことのない規模だ」と説明。支援を申し出た国内企業を精査しているものの、「現実的には、こうした企業すべてが大規模な調達ができるわけではない」と話した。

これまでに国内の8000を超す企業から支援の申し出があり、政府は現在、メーカー159社と協力しているという。さらに、中国企業などからの購入についても「直接やりとりを進めている」と付け加えた。

遅れが出ていたトルコからのPPE輸入については、イギリス空軍の軍用機が運搬を行うことになっている。

イギリス企業のいくつかは、支援を申し出たものの政府から無視されている状態だとBBCに語った。

ノッティンガムシャーの自動車部品メーカー「インターフレックス」は、顔を保護するバイザーやガウンの製造を申し出た。17日に購入するとの回答があったものの、その後連絡が途絶えたという。

同社のジム・グリフィン社長は、こうした防護用具を他国に輸出することも視野に入れていると語った。

最大野党・労働党のキア・スターマー党首は、「どの国の政府も防護用品の調達に苦労しているだろう。しかしイギリスでは政府の発言や考えと、現場の声との隔たりが大きくなっている」と批判。

「この隔たりはできるだけ早く縮める必要がある。職場で文字通り命を懸けてる人たちがいて、きちんとした器具を必要としているからだ」

マスク着用を奨励するか?

政府の新型ウイルス対策を策定している非常時科学諮問委員会(SAGE)は21日、新型ウイルス対策としてマスクの着用を奨励するかを協議した。

イングランド副主任医務官を務めるジョナサン・ヴァン・タム教授は、SAGEによる助言を省庁に通達すると話したものの、詳細は明らかにしなかった。

病院の経営者などからは、マスク着用についての助言を変更すれば、NHSへの供給を危険にさらすとの懸念の声があがっている。

世界保健機関(WHO)は、公共の場でマスクを付けることが感染拡大を防ぐという証拠は見つかっていないとしている。

しかしイギリスでもここ数週間で、マスク着用についての議論が高まっている。

イギリスは「まだ危険を脱していない」

ヴァン・トム教授は、ロンドンではCOVID-19で入院している人の数は徐々に減り始めているが、その他の地域ではまだこの傾向は見られないと話した。

「つまり、現時点では危険を脱していない。グラフは横ばいになったが、多くの地域でははっきりと下り坂になったとは言えない」

「今後数日から数週間で減少していくことは確かだが、引き続きそれぞれの活動を通して努力し、減少に転じさせなければならない」

一方、1日当たりの新たな感染者数はまちまちだが、「依然として高い水準だ」と述べた。

検査の調整役を務めているジョン・ニュートン教授は、検査を行うドライブスルーが郊外にあるなどの理由で、一部の医療・介護従事者が検査を受けられていない状況があると指摘。

自宅で検体を採取し、郵送で検査を受けられるシステムを「早急に」準備すると話した。

その他のイギリスの状況は以下の通り。

  • 下院では、議会をビデオ会議で行うための準備が進められている
  • 99歳のトム・ムーア退役大尉が募った寄付金が2700万ポンドを超え、ハロゲートに新型ウイルス専門の仮設病院が建設された
  • バーガーキングUKは、4月の店舗の賃料を支払っていないと明らかにした。イギリスでは複数のファストフード・チェーンが財務省に対し、9カ月の家賃控除を求めている
  • 自動車保険大手アドミラルは、加入者に対し25ポンドを還付した
  • イギリスでは9割の航空便が欠航を余儀なくされており、専門家からは閉鎖に追い込まれる空港が出てくるとの懸念が出ている

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(英語記事 UK 'throwing everything' at coronavirus vaccine