2020年04月22日 14:11 公開

ニック・トリグル健康担当編集委員

英イングランドとウェールズで4月の1週間に死亡した人の数が、平年同時期を約8000人上回り、過去20年間で最多となったことが明らかになった。

英国家統計局(ONS)によると、4月10日までの1週間で1万8500人が死亡した。これは平年のこの時期の死者数より約8000人多いという。

死者の3分の1は新型コロナウイルスに関連して亡くなったが、他の原因による死者も増加した。感染拡大を防止するためのロックダウン(都市封鎖)が、人々の健康に間接的な影響を及ぼしている可能性を示している。

しかし専門家は、この期間に新型ウイルスの死者数がピークに達していた可能性が高いとみている。

死亡日が記載されている国民保健サービス(NHS)イングランドによる別の分析では、病院で死亡した人の数が4月8日以降は減少していると、専門家は指摘する。

英政府が公表している日々のデータは、病院での死亡者数がいつ発表されたのかを記載しており、記録や報告が遅れていることが多い。つまり、死者数が減少し始めた時期が分からなくなってしまっている。

21日には新たに823人が死亡したと発表されたが、そのほとんどは数日~数週間前に死亡している。中には3月に死亡した人もいる。

ケンブリッジ大学教授のサー・デイビッド・スピーゲルホルターは、NHSイングランドのデータは、感染のピークを越え、ゆっくりだが「着実」に状況が改善しつつあることを示していると指摘。しかし、「イタリアでの出来事から判断すると、(終息までは)長い道のりになるかもしれない」と付け加えた。

オックスフォード大学のカール・ヘネガン教授も、スピーゲルホルター氏と同じ考えだという。ヘネガン氏は、英国内のほかの地域よりも早期に感染者が急増したロンドンが、いち早くピークを迎えたことから、完全なロックダウンの前に講じた措置が効果を生んだのだろうと述べた。

しかし、イングランド副主任医務官、ジョナサン・ヴァン・タム教授は、「我々はまだ危険から脱してはいない。我々は今後も対抗措置を推し進めていかなければならない」としている。

「ピーク」はどれほどひどかったのか

ONSが公表したデータは、英政府が日常的に使用しているものや、NHSイングランドの分析とは異なる。

それらのデータが、ウイルス検査で陽性と確認された病院での死者数に基づいているのに対し、ONSのデータは病院と地域内での死者数を週単位で示す、死亡診断書に基づいている。

ONSのデータによると、4月10日までの1週間で1万8500人が死亡した。これは、インフルエンザが大流行した2000年1月以降で最多。また、直近でインフルエンザが大流行した2015年の死者数よりもはるかに多い。

死者1万8500人のうち6200人以上はCOVID-19(新型ウイルスによる感染症)が原因で死亡した。このうち6人に1人は病院以外の場所で亡くなった。

一方でONSは、ほかの原因による死者も増加したとしている。

ONSで健康解析を率いるニック・ストライプ氏は、ONSはなぜこのような事態になっているのか突き止めようとしていると述べた。

ストライプ氏は、新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)が始まって以降、緊急外来の受診が半減していることから、ほかの病気を患っている人たちが治療を受けるために病院へ行くのを回避している、あるいは新型ウイルス感染者数が実際より少なく報告されている可能性があるとしている。

ストライプ氏は、「見極めには数年かかる」可能性があると付け加えた。

また、これらのデータの数字は、犠牲になった人々を示していることを心にとどめておくことが重要だと述べた。

「1つ1つの数字が人間だ。1人1人に家族がいる。我々はこのことを常に心にとどめておかなければならない」

同様の傾向はスコットランドでも報告されている。4月12日までの1週間で2000人近くが死亡した。

北アイルランドでの死者数も増加している。

病院外での死者数は

病院以外での新型ウイルスの影響をめぐり、懸念が高まっている。

介護施設からは、感染を抑制するためのウイルス検査や防護具が不足しており、入居者の間で感染が広まっているとの報告が上がり始めている。

ウイルス検査ではなく死亡証明書に頼っているONSは、死者数の規模を把握できている。

大半は病院で亡くなっているが、パンデミックが始まって以降、1000人以上が介護施設で亡くなっている。

インフルエンザや肺炎で亡くなる人の方が多い

新型ウイルスの影響を判断するもう1つの方法は、1年間の死者数の全体的な影響を精査することだ。

データからは、全体の死者数が増加していることがわかる。

今年は4月10日までに18万5000人近くが亡くなっている。これに対し、過去5年間の同時期の平均死者数は約17万5000人だ。

しかし2020年のデータは、新型コロナウイルスと、インフルエンザや肺炎の影響も比較している。

インフルエンザと肺炎による死者は3万2000人以上で、今年の新型ウイルスによる死者数の合計より3倍多い。

インフルエンザの季節が終わりに近づき、新型ウイルスによる死者数が急増しているため、この差は今後数週間で小さくなるだろう。

また、新型ウイルスによる死者数が実際より少なく報告されていると考えている人もいる。病院外でのウイルス検査の不足は、死因決定を医師の臨床判断に委ねることを意味している。


新型コロナウイルス特集

感染対策

在宅勤務・隔離生活

(英語記事 Deaths hit 20-year high - but peak may be over