2020年04月23日 14:10 公開

ドナルド・トランプ米大統領は22日、永住権(グリーンカード)の発給手続きを60日間停止する大統領令に署名した。

大統領令はいくつもの例外を含んでいる。期間は延長される可能性がある。

トランプ氏は22日の記者会見で、新型コロナウイルスによって経済が深刻な打撃を受けているなか、アメリカ人労働者を保護するのが目的だと説明。

「これにより失業中のすべてのアメリカ人が、経済再開時に最初に仕事に就くことを保障できる」と述べた。

一方、今回の措置に対しては、トランプ氏が11月の大統領選をにらみ、新型ウイルスの世界的流行(パンデミック)を口実に、かねてから主張している移民規制の強化を進めようとするものだとの批判も出ている。

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年間何十万件にも及ぶ短期の労働ビザ(査証)の発給は影響を受けない。また、米国民の配偶者や21歳未満の未婚の子ども、現在アメリカに滞在中でグリーンカードを申請している人、医師や看護師などの医療関係者は、手続き停止の対象外となる。

しかし、グリーンカード保持者が親族のスポンサーとなることは規制されるとみられる。トランプ氏はこうした行為を「移民の連鎖」と呼んでいる。

今回の大統領令に対しては、訴訟が起こされると見込まれている。

これまでの経緯

トランプ氏は20日夜、「すべての移民」の受け入れを一時停止するとツイートした。

この表明に対しては、農場労働者やH-1Bビザをもつハイテク関連の従業員などの就労が制限されることを恐れるなどしたビジネス界から、すぐに反発が起きていた。

最終的に、大統領令は大幅に対象が狭められ、グリーンカード取得希望者だけについて手続きを60日間停止するものとなった。

なぜ移民を制限?

新型ウイルス流行の影響により、アメリカでは2000万人以上が仕事を失っている。トランプ氏は、政府には米国民が仕事を取り戻せるようにする「厳粛な義務」があるとしていた。

また、「新型ウイルスの影響で失職したアメリカ人が、外国から来る移民労働者に取って替えられるのは間違いであり不公正だ」と述べていた。

共和党のトランプ氏にとって移民問題は、従来から力を入れているテーマだ。前回の大統領選でも、移民への厳しい姿勢を強調して勝利した。

そのため今回の大統領令については、民主党のジョー・バイデン前副大統領との対決が予想されている11月の大統領選に向け、支持者層にアピールする狙いがあるとの見方もある。

トランプ氏が新型ウイルス流行対策から注意をそらそうとしているとの批判も出ている。

グリーンカードとは

米政府は通常、1年に約100万件のグリーンカードを発行している。移民に合法的な永住権を与えるもので、米国の市民権を申請することもできる。

2018年の連邦上院の報告書によると、グリーンカードの約7割はアメリカで暮らす親族がいる人に出されている。

雇用先との関係に基づいて申請されるグリーンカードは、約8割がすでにアメリカにいる人に発給され、短期のビザを永住権へと切り替えるものとなっている。


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(英語記事 Trump signs immigration green card suspension