2020年04月24日 11:57 公開

クリス・モリス、アンソニー・ルーベン、BBCリアリティ・チェック(ファクト・チェック)

自分の国は新型コロナウイルスにうまく対処しているのか、誰もが知りたがっている。ただ、他国と比較するときは、同じこと同士を比べているのか気をつける必要がある。

例えばアメリカは、COVID-19(新型ウイルスの感染症)の死者がどの国よりもはるかに多い。4月23日現在、4万6000人以上が亡くなっている(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計)。

しかし、アメリカの人口は約3億3000万人だ。

これは、西ヨーロッパの5大国(イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン)の合計人口(約3億2000万人)とほぼ等しい。

これら5カ国の新型ウイルスの死者を足し合わせると、4月23日現在で9万1000人を超える(米ジョンズ・ホプキンス大学の集計)。アメリカの2倍に近いのだ。

個々の統計は全体像を示してはいない。

英エジンバラ大学のロウランド・カオ教授(データ科学)は、比較を有益なものにするには、2つの問題を考える必要があるとする。

「基本となるデータは同じ種類なのか? 疫学(伝染病の広がりに関する他の全要素)が違うとき、2つの数字を比べることに意味はあるのか?」

死者の集計

まず数字をいくつか見てみよう。COVID-19の死者の記録方法は、国によって違う。

例えばフランスは、毎日発表する人数に介護施設で亡くなった人を含めている。一方、イングランドは病院で死去した人数だけを発表している。

死や死因をどう判定するのかについても、一致した国際基準がない。

統計に反映するには、ウイルス検査を受けている必要はあるのか、それとも医師に疑いがあるとされれば十分なのか? 新型ウイルスが主な死因でなくてはならないのか、または死亡診断書に何らかの記載があればいいのか?

本当に同種のものを比べているのだろうか?

死亡率

死亡率に大きな注目が集まっている。だが、いくつか異なる計算方法がある。

1つは、感染件数に対する死亡件数の割合だ。ウイルス検査で陽性と判定される人のうち、何人が死ぬのか?

ただ、検査の方法は国によって大きく違う。イギリスは、病院に入院するほどの症状が出ている人を主に検査している。そのため、より広範に検査を実施している国より、死亡率はずっと高くなり得る。

検査をするほど、陽性だが症状がわずかな人や、症状のまったく無い人の数が増える。


つまり、感染者における死亡率は、全体の死亡率とは別物なのだ。

別の計算方法として、国の人口に比して何人の死者が出ているかというものがある。人口100万人あたりの死者数はその一例だ。

ただ、この方法は、各国が流行のどの段階にあるかが影響する。ある国で最初の感染者が、世界的流行の初期に見つかった場合は、死者数が増えるには時間がかかる。

英政府は各国について、50人目の死者が出た時点からの状況を比較している。しかし、それでも問題はある。

50人目の死者が遅くに出た国は、新型ウイルスに備え、その後の死者数を減らすための期間がより長いはずだ。

こうした比較について検討するとき、コロナウイルス感染者の大多数が回復することも心にとどめておくことが大事だ。


政治的要因

統制が厳しい政治体制の国が発表するデータを信頼するのは難しい。

中国やイランといった国々の死者数は正確なのだろうか? はっきりしたことは言えない。

人口100万人あたりで計算すると、中国の数字は極端に小さくなる。武漢市の死者数が一気に50%増えた、上方修正をした後でさえだ。

果たして、このデータは本当に信頼できるのだろうか?

人口要因

人口は国によって現実的に違う。平均年齢や居住地などの人口動態は特に重要だ。

イギリスとアイルランドは比較されてきたが、問題が多い。アイルランドの人口密度はずっと小さく、地方に住んでいる人の割合ははるかに高い。

これら2つの国全体を比べるより、ダブリンと、イギリスの都市部の郡(例えばマージーサイド)を比較するほうがよっぽど妥当だ。

年齢構成の点でも同種のものを比べているか、注意する必要がある。

欧州とアフリカの国々の死亡率を比べても、必ずしもうまくはいかない。アフリカ諸国は若者の人口がずっと多いからだ。

COVID-19では高齢者のほうがかなり亡くなりやすいことがわかっている。


医療制度の違い

一方、欧州諸国の多くが、アフリカ諸国よりも充実した医療制度を有している。

このことは、特定の国のコロナウイルスの影響がどれほど深刻かに影響する。また、社会的距離を保つことが文化的にどれほど容易かも、同様に影響を及ぼす。

世界的流行(パンデミック)を抑えるうえで、医療制度は当然ながら大きな役割を果たす。しかし、すべての国の制度が同じわけではない。

「人々は積極的に治療を求めるか、病院には簡単に行けるか、治療を受けて回復するのにお金を払う必要があるか? こうしたことはすべて、場所によって違う」と、英サザンプトン大学のアンディ・テイテム教授は言う。

別の大きな要因が、併存疾患(糖尿病や心臓病、高血圧などの病気の数)だ。ウイルスに感染したとき、こうした疾患をすでに抱えている人もいる。

検査

パンデミックの早い時期に多くの検査をし、感染者すべてについて接触した人を追跡した国々は、これまで感染症の広がりをうまく遅らせてきたように見受けられる。

ドイツと韓国は、影響が深刻な国々と比べて死者がかなり少ない。

検査件数の人口比は、死亡率の低さを予測するうえで役立つ統計かもしれない。


とはいえ、すべての検査データが同じではない。検査を受けた人数を集計する国がある一方、実施した検査の件数を記録する国もある(多くの人は正確な結果を得るために2回以上検査を受ける必要がある)。

検査のタイミングや、検査の大部分が病院で実施されたのか、地域でなされたのかも、考慮されなければならない。

ドイツと韓国は非常に早い時期に積極的に検査を進めた。そして、新型ウイルスがどのように感染拡大したのかについて多くの情報を得た。

ただ、イタリアも多くの検査をしてきたが、死者は比較的多い。イタリアが検査件数を大きく増やしたのは、パンデミックが起きてからだった。

比較は困難

では、数字の比較から、役立つ情報は得られるのだろうか?

「知りたいのは、なぜある国が他の国よりうまく対処しているかもしれず、そこから何を学べるかだ」と、英オックスフォード大学のジェイソン・オーク教授は話す。

「これまでのところ、検査がもっともわかりやすい手本と思われる」

だが、どの国が新型ウイルスにうまく対処したかは、この大流行が終わるまではっきりはわからない。

「そのときになって、次の流行のために本当に学ぶことができる」とオーク教授は言う。


新型コロナウイルス特集

感染対策

在宅勤務・隔離生活

(英語記事 Can you compare different countries?