2020年04月25日 11:28 公開

ドナルド・トランプ米大統領が新型コロナウイルス治療として消毒剤を注射するのはどうだと記者会見で言及したことに対し、消毒製品の大手メーカーは危険なので「絶対に」体内に入れないよう呼びかけた。

洗剤など日用品の英大手、レキット・ベンキーザーは24日、「はっきり申し上げます」として、「どのような状況だろうと弊社の消毒製品は絶対に、(注射でも内服でもその他のどのような方法でも)人体に入れてはいけません」と声明を出した。

23日のホワイトハウス会見での自分の発言が多くの医療関係者からも批判されたトランプ氏は、24日午後の新型ウイルス対策タスクフォース会議に出席し、記者団を入れたその冒頭で、「おたくみたいな記者たちに、皮肉として質問して、どうなるか試したんだ」と発言の意図を述べた。

消毒剤は人体には危険な物質で、体内に服用すれば害をもたらす。体の表面に付着しただけでも、肌や目、呼吸器官を傷つける恐れがある。

トランプ氏は何と

23日の定例会見では米国土安全保障省の科学技術局幹部が、新型コロナウイルスは太陽光や熱を浴びると比較的早く不活性化するようだという政府研究の結果を発表した。

この研究はさらに、唾液や気道分泌物に含まれる新型コロナウイルスは漂白剤で5分以内に、イソプロピルアルコールを使えばさらに速やかに不活性化する可能性を示した。

これを聞いていたトランプ氏は、「とてつもない紫外線」や「ただひたすら強力な光」を、人体に外から、あるいは内側から浴びせる方法が効くかもしれないと発言。さらに続いて、同席していた新型ウイルス対策の政府調整官、デボラ・バークス医師に向かってこう述べた。

「それから、(新型ウイルスを)1分でやっつける消毒剤もあるだろう。1分だ。そういうのをやる方法はあるかな? 体内への注射とか、それこそ洗浄に近いような?」

ホワイトハウスは24日朝、大統領はアメリカ市民に「繰り返し」、新型コロナウイルスの治療法については医師に相談するよう強調してきたとコメントを出した。

しかし、この時点での声明には、トランプ氏の発言が「皮肉」だったという説明は一切なかった。トランプ氏は同日午後に記者団に、発言は記者の反応を試す「皮肉」だったと述べた。

ツイッターやレディットなどソーシャルメディアには、漂白剤や消毒剤に関するトランプ氏の発言に関する投稿が相次いでいる。レキット・ベンキーザー社の「ライゾール」は、アメリカでも有名な掃除・除菌剤ブランドのひとつで、トランプ氏の発言以降、少なくとも12万回以上はツイッターの投稿に登場した。

メリーランド州知事室によると、新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」と消毒剤について100件を超える問い合わせの電話が相次いだ。同州の緊急事態管理庁は、消毒剤を注射したり内服したりするのは危険だと警告を発した。

カナダのマギル大学ヘルスセンター胸部外科のジョナサン・スパイサー医師はBBCに、トランプ氏の発言内容を実行すれば死に至るおそれがあると述べた。

「(消毒剤に)含まれる腐食性成分は内臓の内壁を溶かしたり破壊したりする」として、スパイサー医師は家庭内にある掃除洗剤の内服は「きわめて危険だ」と強調した。

トランプ氏が提案した紫外線照射については、米コロンビア大学のドナ・ファーバー医師(疫学)がBBCに、「実用的ではない」と話した。

「紫外線はあまり遠くまで届かない。なので体外からだろうが体内だろうが、肺には届かない。ただ、肌が黒くなったり赤くなったりするだけで、DNAにも傷がつく」

ファーバー医師はさらに、体内の新型コロナウイルスに作用するほどの放射能を人体に照射すれば、「コロナウイルスの方がまだましというくらい、人体をひどく損傷してしまう」と説明した。

トランプ氏による治療方法についての発言が、広く批判され物議を醸したのはこれが初めてではない。トランプ氏は少し前まで、 抗マラリア薬のヒドロキシクロロキンがCOVID-19に効くかもしれないと、ことあるごとに繰り返していたが、臨床上の証拠はなかった。米食品医薬品局(FDA)は24日、逆に重篤な不整脈など心臓系の副作用が懸念されると声明を出している。


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