2020年04月26日 13:21 公開

イギリス保健省は25日、新型コロナウイルスによって亡くなったことが国内の病院で確認された死者数が2万人を超えたと発表した。この日、病院で確認された死者は813人に上った。

政府の定例会見でプリティ・パテル内相は、2万人という通過点は「悲劇的でひどいものだ」と話した。かつて政府の首席科学顧問、サー・パトリック・ヴァランスは3月の時点で、国内の死者が2万人以下にとどまれば「良い結果」だと話していた。

一方で、国民保健サービス(NHS)イングランドの医療部門トップを務めるスティーヴン・ポウィス教授は、厳しい行動制限の指針を大勢が守っているおかげで、感染拡大を抑える効果が「確実に」出ていると話した。

こうした中、新型ウイルスによる感染症(COVID-19)で療養中だったボリス・ジョンソン首相が27日午前から職務に復帰することが明らかになった。

ジョンソン首相はCOVID-19を発症後、一時はロンドン市内の病院の集中治療室(ICU)に入っていたが、2週間前に退院。首相の公式別荘「チェッカーズ」で療養していた。

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人口約6700万人のイギリスでは、51日前に最初の新型ウイルスによる死者が確認された。25日までに病院で確認された死者は2万319人だった。

政府の統計には、自宅や介護施設、ホスピスなど病院外の場所で亡くなった人の数は含まれていない。

病院外の死者を含めると

病院外のこうした場所で亡くなる人数は、国家統計局(ONS)が死亡届をもとにした統計を毎週火曜日に公表している。保健省とは異なる数え方をしているONSによると、イングランドとウェールズでは4月10日までの1週間で、COVID-19が原因で病院外で亡くなった人数は少なくとも1662人。病院で亡くなった人は、8673人だった。

ONSは21日のツイートでも、イングランドとウェールズで10日までにCOVID-19関連で死亡した合計人数(18日までに死亡届が出された人数)は1万3121人だったのに対して、保健省のデータでは9288人だったと書いている。

この違いはONSが、死因として疑われるだけの場合を含め、死亡届に「COVID-19」と書かれた人数を、場所を問わず全て含んでいるからだという。

イギリスでは24日に2万8760件の検査が行われた。政府は4月末までに1日当たりの検査能力を10万人に拡大するとしている。

これまでに2万人以上の死者が出ている国はイギリスのほか、アメリカとスペイン、イタリア、フランスの計5カ国。米ジョンズ・ホプキンズ大学による集計によると、25日には全世界で新型ウイルスによる死者が20万人を突破した。

「百年に一度の危機」

政府首席科学顧問のサー・パトリックは3月17日の時点で、イギリス国内での死者数を2万人以下に抑えられることを「望んでいる」と話していた。当時のイギリスの病院での死者数は1日70人前後だった。NHSイングランドのポウィス教授も当時、このラインを超えなければイギリスは「流行に非常にうまく対処している」ことになると述べていた。

25日の官邸会見でポウィス教授はサー・パトリックのかつての発言について質問され、「当時の我々は、これが新しいウイルスで世界的パンデミックで、百年に一度の危機だと強調しようとしていた」のだと説明した。

「これはイギリスだけでなく、すべての国にとって大変な難関になると、強調しようとしていた」

その上でポウィス氏は、イギリスを含む各国が向こう数週間でパンデミック(世界的流行)から回復することは考えにくいと話した。

「これは短距離走ではなくマラソンになる」


ロックダウン解除の条件は?

パテル内相はこのほか、イギリスがロックダウン(都市封鎖)を解除する5つの条件を発表。「はっきり言って今すぐではない」と強調した。

  • NHSが新型ウイルスに確実に対応できるようになっていること
  • 1日の死者数が「持続的かつ継続的に」減少していること
  • 感染率が「管理できる水準」まで下がること
  • 検査キットや個人用防護具(PPE)の供給が将来の需要に見合うようになっていること
  • ロックダウン緩和が流行の第2波の引き金にならないこと

ポウィス教授も、他人と距離を取る施策を止めた場合、ウイルスは「さらに拡散」し始めるだろうと話した。

また、大勢がこの施策に従い、不要不急の移動を控えていることで、確実に「効果」が出ていると述べた。

パテル内相はこの日の会見で、パンデミックが犯罪に与えている影響についても説明した。

新型ウイルスの流行以降、全体の犯罪件数は減っているものの、一部の犯罪者は「この大きな危機の中で利益を得続けている」とパテル氏は指摘した。

パテル氏によると、今週初めには100万ポンド(約1億3000万円)相当のコカインが、マスクと記された貨物から発見された。また、これまでに2000件以上のインターネット犯罪が摘発されたという。

一方で、ロックダウン中に「非常に危険な運転」をするドライバーがいると批判。ロンドンでは時速40マイル(約65キロ)の区域で時速134マイル(約215キロ)で走っていたドライバーが警察に目撃されている。

その他のイギリスの状況は以下の通り。

  • フィリップ・ハモンド元財務相は、政府に経済活動の再開を要求した
  • ウェールズの議員が、鉄鋼大手タタ・スチールがパンデミックを乗り切るには5億ポンドの支援が必要だと訴えている
  • ジョンソン首相の上級顧問を務めるドミニク・カミングス氏が、政府の新型ウイルス対策を策定している非常時科学諮問委員会(SAGE)に出席したとして、批判されている

(英語記事 UK hospital coronavirus deaths pass 20,000


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