2020年04月27日 13:26 公開

イギリスのボリス・ジョンソン首相が27日から公務に復帰する。ジョンソン首相は新型コロナウイルスによる感染症「COVID-19」のため、2週間以上にわたって療養していた。首相代行を務めていたドミニク・ラーブ外相は、ジョンソン氏の復帰が「イギリスにとって弾み」になるだろうと話した。

ジョンソン氏は3月末に新型ウイルスに感染。首相官邸で自主隔離しながら公務を続けていたが、4月5日にロンドン市内の病院に入院した。一時は緊急治療室(ICU)で酸素供給を受けたものの、12日に退院し、療養生活に入っていた

ジョンソン首相は26日、療養先の首相公式別荘「チェッカーズ」からロンドン市内の首相官邸ダウニング街10番地に戻った。

復帰後はまず、27日朝の新型ウイルス対策会議に出席する予定。一方で、定例会見に姿を見せるかは分かっていない。

ジョンソン氏は先週、エリザベス女王やドナルド・トランプ米大統領と電話会談を行ったほか、ラーブ氏やリシ・スーナク財務相を含む閣僚らと、新型ウイルス対策について協議を始めているという。


ラーブ外相はBBC番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演した際、首相不在時に「積極的に行動を起こした」閣僚や公務員を称賛した。

また、一時的に首相代行を務めた経験は楽しかったか尋ねられると、直面したタスクを「楽しんだわけではなく」、特に「危ない状況」だった時にはジョンソン氏と家族のことを常に考えていたと述べた。

イギリスでは25日、新型ウイルスによって病院で亡くなった人が2万人を超えた。国別の死者数としては世界で5番目に多いものの、これには自宅や介護施設などで亡くなった人数は含まれていない。

ジョンソン首相をめぐっては、COVID-19の脅威が明らかになってからの対応が遅すぎたという批判が出ている。野党・自由民主党は、「悲惨な」死亡率について公開調査を行うべきだと訴えている。

ラーブ外相はこの点について、2万人という数字は「厳しい通過点」だと話した一方で、政府の対応を擁護。閣僚が科学的助言に従って適切な時期に大きな決断をしなければ、死者数はもっと多かったはずだと指摘した。

医療従事者の防護具不足についても、イギリスは望んだ状態にはないものの最善を尽くしており、世界的に防護用品が不足している中でイギリスは「国際市場で買い手として選ばれている」と述べた。

ロックダウンをどうするか

野党からは、ジョンソン氏の回復を祝う声と共に、安全と判断された場合にロックダウン(都市封鎖)をどのように解除していくかについて詳細な説明を求める声が上がっている。

アンドリュー・マー・ショーに出演した最大野党・労働党のレイチェル・リーヴス議員は、ベルギーやドイツ、デンマークなど一部の経済活動や学校を再開している国の例にならうことも「可能ではないか」と話した。

「我々は政府と共に計画を推進し、きちんと遂行する用意がある」とリーヴス議員は述べた。

元労働党の閣僚でグレーター・マンチェスターの市長を務めるアンディー・バーナム氏も、民放スカイの番組で、小売店を含む一部企業について、他者と2メートル以上の距離を取る対策を厳格に守るという条件の下で営業再開を認めるべきだと示唆した。

その上で、こうした「基準ベース」のアプローチは安全衛生庁によって進められるべきだと説明。また、産業や地域で経済活動に差が出るよりも公平だと述べた。


<分析> レイラ・ナー政治担当編集委員

ドミニク・ラーブ外相は「難しい時期」に首相代行を務めたと認めた。

この混乱の時期のほとんどを、イギリス政府は指導者のいない状態で過ごしたが、ボリス・ジョンソン首相は公務に復帰できるほど回復した。今では、ロックダウンをどうするかという次の大きな決断が迫っている。

新型ウイルス対策法では、ロックダウンを含む施策は3週間ごとに「再検討」されることが義務付けられている。

政府や与党内、野党の間では現在、ロックダウンの影響について、そして全市民に自宅待機を求める鈍器のような方法に取って代わる、どういう対策の組み合わせが適切かについて、激しい議論が交わされている。首相は今後、こうした議論の中に戻っていくことになる。

時期尚早な制限緩和によって新型ウイルスが再び急速かつ広範囲に広がることを、誰もが恐れている。ジョンソン氏は自ら、感染と発症を経験している。

一方で、経済や国民全員が受けている打撃について、懸念が高まっている。制限緩和にはどういう条件が必要なのかについても、同様だ。

政府のメッセージは明確だ。いきなり何もかも元通りに戻ったりはしないと。しかし、感染対策と経済と国民生活の新しいバランスをどう取るのか、その決断をするのは、究極的には首相の役割だ。


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