2020年04月30日 12:08 公開

アメリカ商務省は29日、2020年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)が年率4.8%縮小したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるためのロックダウン(都市封鎖)により、経済活動が制限されたことが響いた。

GDP成長率がマイナスに転じるのは2014年以降で初めて。2008年第4四半期以降の落ち込みになった。

しかし、アメリカでは3月時点では本格的な行動制限が始まっていなかった。そのため、今回の数字は危機の初期段階の影響を示しているにすぎない。

米連邦準備理事会(FRB)は、新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)は「アメリカと世界に甚大な人的・経済的な苦難を与えている」と話した。

アメリカ政府は新型ウイルスによる経済への打撃を緩和するため、国民への小切手送付など、3兆ドル近い財政支出を決定。FRBも政策金利をほぼゼロまで下げるなどの緊急措置を講じている。

FRBのジェローム・パウエル会長はこの日、オンライン記者会見で、「経済が今回の出来事を潜り抜け、軌道に乗ったと確信できるまで」は現在の金利を維持すると説明。その上で、新型ウイルスによる危機は今後もアメリカ経済に「重くのしかかる」だろうと警告した。

「もっと対策が必要か? 答えはイエスだ」

「前例のない」打撃

3月半ば以降、アメリカでは2600万人以上が失業手当を申請。また、企業活動や消費者信頼感も過去最大の落ち込みを示した。4~6月期にはGDP成長率が30%超、縮小するという予測も出ている。

ムーディーズ・アナリティクスのチーフ・エコノミスト、マーク・ザンディ氏は、「これは全くの想定外で、前例のないこと。経済はぺしゃんこになってしまった」と話した。

アメリカのマイナス成長は、新型ウイルスによる世界的な経済低迷の一部だ。

1~3月はほとんど制限がしかれていた中国ではGDP成長率は6.8%縮小し、統計を開始した1992年以降で初めてマイナスを記録した。

ドイツも、今年のGDP成長率が6.3%のマイナスになるとの見通しを示している。

企業活動や消費者への影響も

新型コロナウイルスが経済に打撃を与える前、アメリカ経済は今年、2%の経済成長率を見込んでいた。

しかし4月半ばには、国全体の95%が何らかのロックダウン(都市封鎖)を敷かれた。すでに解除を始めている州もあるものの、ニューヨーク州やカリフォルニア州といった主要経済拠点の州では今も移動や企業活動が制限されている。

多くの企業が四半期決算の発表に際し、パンデミックが事業に大きな打撃を与えていると警告している。

ゼネラル・エレクトリック(GE)は28日、第1四半期の売上高が8%減少したと発表。墜落事故ですでに痛手を負っている航空機大手ボーイングは48%の減収で、生産縮小と人員整理を計画していることを明らかにした。

しかしこうした中、アメリカの主要株価指数は28日、2%超の上げ幅で取引を終了した。

プリンシパル・グローバル・インヴェスターズのチーフ・ストラテジスト、セーマ・シャー氏は、これは経済見通しではなくFRBの介入を受けた上昇だと説明している。

商務省はまた、消費者支出が1~3月期に7.6%減少したと発表した。消費者支出はアメリカ経済の3分の2を占めている。

飲食・ホテルへの支出は70%落ち込み、衣服・靴なども40%以上縮小した。健康への支出も、新型ウイルスの影響で緊急でない治療が延期されるなどしたため、減少した。

アメリカ経済は4~6月期にはさらに深刻な事態に陥ると予想されているが、エコノミストらからは、1~3月期の数値が改定値で悪化する可能性があるとの指摘も出ている。

ザンディ氏は、「落ち込みがどれだけ深いのか、程度を測るのは非常に難しい。向こう数年間の経済への打撃もまったく分からない」と述べた。

(英語記事 US economy shrinks at fastest rate since 2008