早速3月22日には、エチオピアのアビー首相がツイッターで、検査キット110万セット、マスク600万枚、防護服6万枚が届いたことを明らかにした。4月6日にも、呼吸器500台、防護服20万枚、フェイスシールド20万個、非接触型体温計2千個、検査キット100万セット、手袋50万枚がアリババグループから送られたことが馬氏のツイッターで報告され、4月20日には第3弾の送付も発表された。

 エチオピアは、米国のトランプ大統領をはじめ、中国に忖度(そんたく)したことで初期対応を誤ったと非難されている世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長の母国でもある。

 エチオピアの正式国名はエチオピア連邦民主共和国といい、前身は1270年から約700年続いたエチオピア帝国だ。政変によりその後、社会主義エチオピア、エチオピア人民民主共和国、エチオピアと変遷し、1995年に現在の国名となった。

 厳密に言えば、1936~41年はイタリア統治下にあったが、アフリカで唯一植民地化されたことがない国とも言われ、国民も非常にそれを誇りにしている。

 中国との関係は1970年、エチオピア帝国時代の国交樹立に始まった。その後、中ソ対立の影響を受けて、一時疎遠になることもあったが、国内の道路や発電所、ダムなどさまざまなインフラや、約2億米ドルの総工費を中国が全額負担し、首都アジスアベバにAU本部を建設するなど、幅広い分野で中国からの支援を受け続けている。

 2000年に北京で始まったアフリカ各国の首脳級が参加する「中国・アフリカ協力フォーラム」(FOCAC)でも、2003年に行われた第2回開催地として選ばれた。このように、中国のアフリカ政策におけるエチオピアの重要性が明確になった。

 資源確保の面でも、エチオピアの地理的重要性は非常に高い。同国が国境を接しているのは、スーダン、南スーダン、ケニア、ジブチ、ソマリア、エリトリアに、国際的にはソマリアの一部であるものの、実質的には独立国家状態のソマリランドを加えた7カ国だ。

 このうち、比較的政情が安定しているのはケニアとジブチだけであり、内陸国であるスーダンや南スーダンから港まで資源を運ぶためにはエチオピアの安定と発展が不可欠なのだ。
エチオピアの首都アジスアベバにあるアフリカ連合(AU)本部(ゲッティイメージズ)
エチオピアの首都アジスアベバにあるアフリカ連合(AU)本部(ゲッティイメージズ)
 その一方で、国の借金である対外債務の17%を中国が占め、中国からの輸入25億3800万米ドルに対し、輸出は3億450万米ドルにとどまり、21億9300万米ドル(約2412億円)の輸入超過となっている。今回の新型コロナウイルスへの対応においても、経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)に160万米ドルの支援を要求している。

 先日、国連食糧農業機関(FAO)は、1カ月ほど前に東アフリカ一帯に大被害を与えたサバクトビバッタによる蝗害(こうがい)の第2波発生が予測されると警告した。被害地域では、約2千万人が既に深刻な食糧危機の状況にあるが、専門家によると、第1波の20倍の規模に達する可能性があるという。