政情不安な国が多いアフリカにおいて、政治家はクーデターなどで退場するが、クーデターを起こすのは軍人であり、その中心にいるのは必ず将校以上の軍人だ。つまり、軍内部に広いパイプがあれば、たとえ政権が変わっても引き続き影響を持ち続ける事ができるのだ。

 中国による、アフリカ各国を鉄道網や高速道路で繋ぐ計画も進行中だが、インフラ面で現在最も進んでいるのは「海上のシルクロード」の要となる港湾への影響拡大だろう。CSISによると、既にケニア、タンザニア、モザンビーク、アンゴラ、ナイジェリアなど20カ国以上の46の港湾で、資金提供・建設・運営などの影響力を持ち、米国は現状に危機感を募らせているという。

 また、発展途上国に光ファイバーネットワークを確立する「デジタル・シルクロード」構想も進んでいる。

 先鋒を担っているのは、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)だ。海底光ファイバーの敷設だけでなく、第4世代(4G)移動通信システムネットワークの設置や「スマートシティー」への取り組み、今年に入ってからは南アフリカなどで5Gの運用も始めている。

 年平均10%以上と大きく伸びるアフリカのスマートフォン市場でも、中国の存在は大きい。ローエンド(低価格帯)のスマホを充実させることで支持を得て、シェア1位のテクノ(伝音控股、トランシオン)(20%)と4位ファーウェイ(9%)だけで、市場の29%を占めている。

 コンテンツの分野でも、大手メディアの四達時代(スタータイムス)がアフリカ30カ国以上に展開し、月額2千円程度で、地上デジタルと衛星のテレビサービスを2600万人のユーザーに提供している。放送されている番組は他のケーブルテレビ同様、欧州サッカーなどの人気コンテンツだ。もちろん、中国で制作されたドラマやニュースもある。

 スタータイムスはハード面でも、アナログテレビからデジタルテレビに切り替える国や放送局に技術を提供するとともに、貧困層の多い農村部からも衛星放送にアクセスさせるプロジェクト「Access to satellite TV for 10,000 African villages」を行っている。その目的は農村地域における情報格差(デジタル・デバイド)を減らすことだ。

 一方で、自由と民主主義を監視する国際非政府組織(NGO)フリーダムハウスからは、体制側による言論統制やインターネットへの接続制限などネット上の自由を脅かすノウハウを、中国がアフリカ諸国に提供していると非難されている。
会談前に握手する中国の習近平国家主席(右)とWHOのテドロス事務局長=2020年1月、北京の人民大会堂(共同)
会談前に握手する中国の習近平国家主席(右)とWHOのテドロス事務局長=2020年1月、北京の人民大会堂(共同)
 サイバーセキュリティーとネットのガバナンスを監視するNGO、ネットブロックスによると、体制側によると思われるネットへの接続制限・遮断が行われたという。昨年はアルジェリア、エジプト、スーダン、エチオピアなど10カ国で、今年に入ってからもトーゴとギニアの選挙前に実施されたと報告されている。

 これらの事件に対する関与の有無は不明だが、アフリカで流れるデジタル情報の根幹を、中国が担っていることは間違いない。