
2020年05月01日 15:03 公開
新型コロナウイルス対策のため厳しい行動制限を実施している米中西部ミシガン州で4月30日、自動小銃などで武装した人を含む数百人が州議会議事堂に押し寄せ、ロックダウン(都市封鎖)に抗議した。
州政府に抗議するため州都ランシングの議事堂に集まった大勢は、マスクをせず、社会的距離も保っていなかった。
警察は一部の抗議者の体温を計ってから、審議中の州議会の傍聴席へ入場を認めた。
グレッチェン・ウィトマー州知事(民主党)は、自宅待機命令を5月15日まで延長。一部の州民はこれに激しく反発している。
ミシガン州では、デトロイト周辺を中心に4万1000人以上の感染が確認され、3788人が死亡している。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると(日本時間1日午後現在)、新型コロナウイルスの感染が確認された人数は全世界で325万7500人超。死者は23万3000人超。一方で、回復した人は100万人を超えた。
感染者と死者が最も多いアメリカ(人口3億3000万人)では、107万人近い感染が確認され、6万3000人超が死亡。約15万4000人が回復している。
「アメリカ愛国者集会」を名乗るこの日の抗議行動は、州政府の命令に背いて5月1日に事業を再開するよう州内企業に呼びかけていた。
ミシガン州では議事堂内での銃器携行は合法。そのため、州上院の傍聴席では複数の抗議者が公然と銃を携えていた。
一部の抗議者が本会議場に乱入しようとしたため、州警察や守衛官に阻止されたという。
デイナ・ポリハンキ州上院議員は、ライフルを担いで傍聴席に上がった抗議者たちの様子を、ツイート。「私の真上で、ライフルを持った男たちが怒鳴っている。防弾チョッキを持っていた同僚議員の中には、着用している人たちもいる。守衛官がいてくれてこれほどありがたかったことはない」と書いた。
https://twitter.com/SenPolehanki/status/1255899318210314241
議事堂の外で抗議する人たちは、「中に入れろ!」、「働かせろ!」、「ここは人民の家だ、我々を締め出すことなどできない!」などと口々に繰り返していた。
「ウイルスはもうここにいる、これからもい続ける(中略)みんなの仕事再開をもう許すべきだ。それだけの話だ」と、抗議に参加したジョニ・ジョージさんはAP通信に話した。
30日の審議で共和党が多数を占める州議会は、緊急事態命令の延長を求めるウィトマー知事の要請を否決した。
州議会はさらに、パンデミック対応について知事を提訴できるよう手続きを整えた。これに対してウィトマー知事は、行動制限命令の延長に議会の承認は不要だと反論した。
ウィトマー知事は29日、共和党がウイルス感染拡大を「公衆衛生の危機」ではなく、「政治問題」扱いしていると批判していた。
29日にはミシガン州請求裁判所が、住民5人を原告とする訴えで、州知事によるロックダウン命令は違憲ではないとの判断を示した。
「行政命令による制限下での生活が困難なことは裁判所も痛いほど承知しているが、今の困難な状態は一時的なものだ。それに対して、ウイルスに感染して回復できない人にとって(そしてその家族や友人たちにとって)、困難はあまりに決定的だ」と、クリストファー・マリー裁判長は判決文に書いた。
アメリカでは、ジョージア、オクラホマ、サウスカロライナなど複数の州が行動制限の緩和に乗り出している。
ミシガン州では4月15日にも、ロックダウン解除を求める人たちが自動車で議事堂に向かった。今回の抗議行動はそれ以来の規模という。
ドナルド・トランプ米大統領は当時、「ミシガンを解放しろ」など、州政府への抗議行動が起きた州についてツイートし、デモ主催者を支持した。これは、野党・民主党所属の知事がトップにいる州政府に対して、反政府行動を扇動したに等しいと批判された。
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(英語記事 Coronavirus: Armed protesters enter Michigan statehouse)