2020年05月06日 12:17 公開

イギリスで5日、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)の死者がイタリアを抜いて欧州で最多となった。この日までの死者数は2万9427人で、ドミニク・ラーブ外相は「大きな悲劇だ」と語った。

イタリアはこれまで欧州で最も死者数が多かったが、この日までの死者数は2万9315人だった。同国とイギリスはともに、新型ウイルスの検査で陽性反応とされた死者を集計している。

しかし専門家からは、世界全体で死者数などを比較するにはあと数カ月は必要だと指摘する声も出ている。

BBCのロバート・カッフェ統計部長は、死者数の増加スピードはイタリアよりもイギリスの方が速いと指摘。

一方で、イギリスの人口は約6700万人とイタリアよりも10%ほど多く、単純な比較には注意が必要だと述べた。

さらに、両国では検査方法も異なっており、イタリアの方が全体の検査数は多いという。

BBCのニック・トリグル保健担当編集委員は、死者の分布も異なると言及。イタリアでは死者の半数がロンバルディア地方に集中しているが、イギリスでは全国に分散していると述べた。

<関連記事>

定例会見でラーブ外相は、2万9427人の命が失われたことは「大きな悲劇」であり、イギリスでは「こうした形、こうした規模での死は(中略)前例がない」と述べた。

しかし国同士の比較については、「パンデミック(世界的流行)が終わるまで、そして特に全死因に関する国際的かつ包括的なデータが出て来るまでは、各国がどれほど健闘したかの判決は出ないと思う」と述べた。

英ケンブリッジ大学のデイヴィッド・スピーゲルハルター教授は、報告されている新型ウイルスでの死者数が、本当の数を「大きく下回っている」ことは「確か」だと話した。

「欧州のどの国も成功しているとは言えないが、これはユーロビジョン(欧州各国による歌合戦番組)ではないし、ランク付けすることに意味はない」

「唯一意味のある比較は、国ごとに年齢構成による変動調整を行った上で、全死因に関する超過死亡を見比べることだが、それでも数字の違いの原因を突き止めることは非常に難しいだろう」

政府とは別に国家統計局(ONS)が発表している統計によると、4月24日までの新型ウイルスによる死者は2万7300人となった。4月24日以降にONSに報告された死者数を含めると、全体の死者は3万2000人以上になるという。

ONSでは死亡届に記載された死因を基に統計を出している。また検査を受けていなくても、医師がCOVID-19の疑いがあると判断した場合の数も含めている。

イギリスではこれまでに138万3842件の検査が行われた。5日の検査数は8万4806件と、政府が目標とする1日10万件を切っている。

マット・ハンコック保健相は4月初めにこの目標を設定。5月1日と2日は達成したものの、ここ3日間は下回っている。

一家の3人が亡くなるケースも

イングランド北部サウス・シールズでは、新型ウイルスによって一家の3人が亡くなるケースがあった。

30年以上にわたって看護師として働いていたキース・ダニントンさん(54)は、4月19日に自宅で亡くなった。その後5月に入り、母親のリリアンさん(81)とその夫のモーリスさん(85)が相次いで亡くなったという。

イギリスではこれまでに100人以上の医療従事者が新型ウイルスの犠牲になっている。

また、介護施設での死者も多数報告されており、北アイルランドでは同じ施設の14人が、COVID-19の関連する症状で死亡した。

イギリスのその他の状況は以下の通り。

  • 現地紙デイリー・テレグラフはこの日、政府の非常時科学諮問委員会(SAGE)でロックダウン(都市封鎖)政策に関わっていたニール・ファーガソン教授の「結婚している恋人」が、ロックダウン中にファーガソン氏の自宅を訪れていたと報道。ファーガソン氏は「判断の誤り」と、政策を「損なった」ことを理由に、政府顧問を辞任した
  • イギリスとアメリカのサイバーセキュリティー当局は共同声明を発表し、新型ウイルス対策に関わっている医療従事者を標的としたサイバー犯罪に注意するよう呼びかけた
  • 英航空大手ヴァージン・アトランティックがイギリス国内の従業員の3分の1を整理すると発表した

新型コロナウイルス特集

感染対策

在宅勤務・隔離生活

(英語記事 UK coronavirus death toll higher than Italy's