天功さんは、金総書記には整形手術した3人の影武者がおり、1人は女性だったと証言した。確かに写真を詳細に分析すると、喉頭(のどぼとけ)のない金総書記がいた。

 こうした過去の事実から、金委員長にも影武者が存在すると言われてきた。20日ぶりに登場した金委員長の映像を点検した、ジャーナリストの西岡省二氏は「でもすっきりしない」と書いているが、正常な判断だといえる。

 なぜ4月15日の金主席生誕記念日に、主席を安置する錦繍山(クムスサン)太陽宮殿に参拝しなかったのか、20日間何をしていたのか、なぜ愛用の腕時計をしていないのか、なぜ高官が4人しか同行しないのか-。いまだに解けない疑問が尽きないが、「金正恩登場」の謎は他にもある。

 韓国の朝鮮日報は5月3日、大統領府の高官が「金委員長は手術していないと判断している」と語ったと報じたが、「根拠を示さなかった」とも付け加え、高官の名前と役職も明らかにしなかった。相手が匿名報道を求めたので、信用できないと判断したのだろう。

 最大の謎は、米韓両首脳が真実を全く語っていないことにある。共にあれほど大騒ぎして会議まで開いたのに、何も言わないのはおかしい。

 米国のトランプ大統領は1日に「今はコメントできない。適切な時期に発表する」と述べつつ、翌日「彼が健康なのはうれしい」とだけツイッターに投稿した。米情報機関が、はっきりするまで発言を控えるように、大統領に要請している様子が浮かび上がる。

 文大統領も同じ状況なのだろう。いったい2人は何を待っているのか。情報機関は、声紋分析できる「声」が欲しいのに、映像で声を出さないから疑念が晴れないのだ。写真だと、いくらでもごまかせる。
2020年5月3日、北朝鮮との軍事境界線に近い韓国・坡州の軍監視所で歩哨に立つ兵士(AP=共同)
2020年5月3日、北朝鮮との軍事境界線に近い韓国・坡州の軍監視所で歩哨に立つ兵士(AP=共同)
 そのような中で3日に、南北軍事境界線付近の南側にある韓国側の監視所に向け、北朝鮮側から発砲があった。朝鮮人民軍では、中央の命令がない限り、「誤射」など絶対にありえない。誤射したら、関係者が処罰されてしまう。

 もし、指示があったとすれば、国内引き締めのために軍事緊張を高めたのか。指示がなかったのであれば、軍の統制が乱れていることになる。