2020年05月08日 13:51 公開

ジェイン・ウェイクフィールド、テクノロジー記者

米グーグルの姉妹企業「サイドウォーク・ラブズ」は、カナダ・トロント沿岸部にデジタル都市「スマート・シティ」を構築する事業を中止した。COVID-19(新型コロナウイルスによる感染症)の世界的流行が理由という。

サイドウォーク・ラブズは数年間にわたり、トロントの工業地帯での「スマート・シティ」の構築に力を注いできた。

同社のダン・ドクトルフ最高経営責任者(CEO)は、「経済がかつてないほど不安定」になっているため、計画を取りやめたと説明した。

この計画は以前から物議を醸していたため、同社はすでに計画規模の縮小を余儀なくされていた。

トロント沿岸部をめぐっては、カナダ政府、オンタリオ州政府、トロント市が2001年、再開発計画事業を担う機関「ウォーターフロント・トロント」を設立した。

「財政的に実現不可能」

ドクトルフCEOはブログで、「世界中で、またトロントの不動産市場において、経済がかつてないほど不安定になっている。そのため、真に包括的で持続可能なコミュニティを構築するという、ウォーターフロント・トロントと共に立てた計画の中核部分を犠牲にすることなく12エーカー(約4万8500平方メートル)規模の都市を実現するのは、財政的に不可能だ」と書いた。

「この2年半の間に我々が進めてきた構想は、とりわけ手ごろな価格や持続可能性の分野における、都市が抱える大きな問題への取り組みにとって、大きな貢献になると信じている」

この構想では、自動運転車やごみ回収の画期的な方法、大気質や人々の移動に関するデータ収集のための数百ものセンサーといった、テクノロジーを駆使した都市の実現を目指していた。建物は地球に優しく、急進的な新しい方法で建設されるというものだった。

落札をめぐり疑問視する声も

一方で、サイドウォーク・ラブズがどのように契約を勝ち取ったのかについて疑問視する声もあった。

同社が当初の説明よりもはるかに大きな規模の開発を計画していることが明るみになると、計画に反対する市民によるロビー団体が、なぜ自分たちはデジタル実験の「実験用マウス」にならなければならないのかと反発した。

この計画を精査するために設置された第三者委員会の報告書は、構想の一部は「技術のための技術」であり、不要とされる可能性があると示唆した。

サイドウォーク・ラブズには、最終的に計画継続への暫定的許可が与えられたが、規模を190エーカー(約76万9000平方メートル)から12エーカーへと大幅に縮小することとなった。

また、センサーを用いて収集したいかなるデータも、共有資産にしなければならなくなった。

サイドウォーク・ラブズの計画中止を受け、ウォーターフロント・トロントのスティーブン・ダイヤモンド会長は、「これは我々が望んでいた結果ではないが、トロントの未来のためのサイドウォーク・ラブズの構想や努力、そして同社および同社従業員による多くの貢献に対し、感謝を申し上げる」と述べた。

「キーサイド(都市計画を進めていた土地)は、トロント、そして世界中の都市が発展し、成功し続けるために対処しなければならない、手ごろな価格の住宅や移動性の向上、気候変動やそのほかの都市部における課題への革新的な解決策を模索するための、素晴らしい機会を提供する場であり続ける」

サイドウォーク・ラブズのドクトルフ氏はブログで、同社は「ロボット家具から電力のデジタル化に至るまで、あらゆることに取り組み」、新興企業への投資を継続していくと述べた。

「我々は、住宅価格をより手ごろにできる、工場で生産したマスティンバー(複数の木材を組み合わせ、強度を向上させた集成材)を使った建築に関して社内的に取り組み続ける」

(英語記事 Google ends plans for smart city in Toronto