水島新太郎(同志社大嘱託講師)

 2020年4月23日、ニッポン放送「ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン」で、パーソナリティーを務める岡村隆史が風俗に関する発言をし、物議を醸している。新型コロナウイルスによる外出自粛のため、風俗に行くことができないと嘆くリスナーに対し、岡村は次のように発言した。

 「コロナ明けたら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、美人さんがお嬢(風俗嬢)やります。これ、なぜかと言うと、短時間でお金をやっぱり稼がないと苦しいですから、そうなったときに今までのお仕事よりかは。これ、僕3カ月やと思っています。苦しいの、3カ月やと思います。(中略)この3カ月、3カ月を目安に頑張りましょう」

 これは発言の一部に過ぎないが、新型コロナによる失業で生活困窮者が風俗に流れ、最低3カ月間はかわいい風俗嬢の数が増えると、推考していることからも分かるだろう。岡村発言は、個人の発言としては具体的であり、皮肉るならば、風俗を熟知した人間の哲学的思想のようにも見える。

 リスナーに諭すように語りかける彼の口調からも、それは一目瞭然である。本稿では、ジェンダー研究者の立場から、岡村発言と、翌週の番組で「公開説教」した相方、矢部浩之の発言を批判的に分析し、生物学上同じ男性としての立場から、岡村が今後取り組むべきことについて述べたい。分析に必要なキーワードは、「ミソジニー」(女性蔑視)、「ホモソーシャル」(従来型の男性同士の絆)、「オン・オフ問題」、そして「アローン」(おひとりさま)だ。

 依然、日本列島が新型コロナによる自粛ムードの中、岡村は自ら発した風俗発言によって窮地に立たされるわけだが、実は、同じ日にジェンダー失言をした人物がもう一人いる。スーパーでの密閉、密集、密接の「3密」回避案を、自らの主観だけで語った大阪市の松井一郎市長だ。

 松井氏は、男性は決められたものだけを買うから、女性よりも買い物が速い、と独自の「解決策」を掲げ、その後、主婦たちからの猛反発にあう羽目となる。2人とも新型コロナ禍が深刻化する中、女性を蔑視する失言をし、猛反発にあっている。

 ただ、今のような国難でなくとも、彼らの発言は時代の変容に追いつけないまま現代に至る男性の本音であり、批判は免れない。特に、女性を性的搾取の対象として蔑視する岡村発言は、タレントのMattをはじめとするジェンダーレス男子たちが体現する、意識と生活スタイルが多様化した今日において、時代を逆行していると言わざるを得ない。
会見する大阪市の松井一郎市長=2020年4月(安元雄太撮影)
会見する大阪市の松井一郎市長=2020年4月(安元雄太撮影)
 公開説教で、矢部が「風俗キャラ、それがキャラクターになっていたから」と述べているように、風俗猥談(わいだん)を好む岡村を以前から知っている筆者は、岡村のことを典型的な「女嫌いな男」であると考えてきたが、今回の発言でこの考えに確信を持つことができた。

 一般的に、女性との性行為を思い巡らす者は女好きな男であると考えられがちだが、ジェンダー研究において、女好きな男と女嫌いな男の間に大きな違いはない。ここでの「嫌い」は「蔑視」と同義の言葉として考えてほしい。両者は女性を性的搾取の対象としてとらえ、時として、岡村のような風俗発言を、後先考えずに行う。つまり、女好きな男ほど、女嫌いなのである。