2020年05月14日 14:41 公開

日本政府は14日、47都道府県のうち39県で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を解除した。

解除されたのは、特定警戒都道府県のうちの茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県と、特定警戒の対象となっていない34県。

一方、東京都や大阪府などの大都市圏や、特に感染が広がっている北海道では引き続き制限が続く。

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安倍晋三首相は午後6時からの記者会見で、緊急事態宣言の一部解除を表明。「39県に関しては今後、徹底的なクラスター対策を講ずることで感染拡大を防止できるレベルにまで、抑え込むことができたと判断した」と説明した。

また、「ひっ迫した医療現場の状況も全体として改善傾向にある」、「ここからコロナの時代の新たな日常を取り戻していく。今日はその本格的なスタートの日だ」と述べた。

解除されなかった8都道府県に関しては、「21日をめどに専門家に評価してもらい、可能であれば31日を待つことなく解除する」とした。

記者会見後、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の会合が開かれ、一部解除が正式に決まった。

各業界ガイドライン作り本格再開

日本の緊急事態宣言は当初、5月6日が期限だったが、5月31日まで延長されていた。

宣言下では、各都道府県の知事が法律に基づいて外出自粛、学校閉鎖、企業の休業などを要請できる。一方、これに従わなかった場合の罰金などは設定されていない。

安倍氏は会見で、今回の一部解除を受けてレストラン、公共交通機関、ホテルなど80以上の業界はそれぞれ感染予防のガイドラインを策定し、それに沿って事業を本格化させて欲しい述べた。

一方で、「緊急事態が解除された後にも身の回りにウイルスは確実に存在する」、「感染者の増加スピードが高まってくれば、残念ながら2度目の緊急事態宣言もあり得る」と説明。県をまたいだ移動を控えるなど、感染対策を緩めないよう国民に呼びかけた。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、人口約1億2600万人の日本の感染者数は1万6000人と、比較的少ない。

しかしこれは検査数の少なさが原因かもしれない。現在、日本では重症化した人しか検査を受けられないが、政府はこの基準を緩和する方針を示している。

<解説>加藤祐子 BBCニュース東京

日本は外国のような全面的なロックダウン(都市封鎖)は実施しなかった(政府にその権限を与える法制がないという理由もあって)。それでも日本に住む大勢は感染対策の指示に従いながら、なるべく家に閉じこもって過ごしてきた。

主な繁華街や大規模店舗は休業が続き、多くの事業が苦しんでいる。大変な思いをしながら生活する人たちのストレスは、高まるばかりだ。

政府は緊急事態宣言を39県で解除した。その中で私たちの多くは、では自分はどうしたらいいのか、迷いに迷い、困惑している。経済活動を再開して、外出して、出勤して、子どもを学校に行かせて、買い物をして、外食をして、経済を支え、大勢の生活を守りたい。その一方で、自分を含めて大勢の命をも守らなくてはならないからだ。

確かに諸外国に比べて、日本で確認される感染者や死者の人数は、にわかに説明がつかないほど少ない。けれどもそれが安心材料になっているとは言いがたい。そして多くの人が、政府のこれまでの対応を疑問視している。

たとえば、布製のマスク2枚を全世帯に配るという政府事業だ。大勢があきれ、わらった。鳴り物入りで始まったが、一部のマスクに汚れや欠陥が見つかり、効果の割には費用が高すぎる、受注業者の選定が不透明だ――などと批判が相次いだ。加えて、4月中に配られたのは東京のみ、他の特定警戒都道府県への配送がはじまったのは5月初めで、国内のほとんどにいまだに行き渡っていない

政府が打ち出した経済支援も、少なすぎる、遅すぎる、申請に手間がかかりすぎると不評だ。大幅減収などの条件つきで世帯ごとに30万円給付という当初案に、ソーシャルメディアで猛烈な反発が上がり、野党だけでなく連立与党内からも反論が出て、政府は4月下旬に1人一律10万円の現金給付を決めた。しかし、あれから3週間たった今、申請書を目にしたという人はまだ少数派だ。

加えて先週からは、政府が成立を急ぐ検察庁法の法改正について、ツイッターで猛反対の声が上がった。検察幹部の定年延長を政府の裁量で決められるようになる条項を含む改正案だが、これに抗議する内容のハッシュタグがいくつか立ち上がり、合わせると計900万回以上ツイートされたとも言われている。国会議事堂前では13日夜、社会的距離を保ったマスク姿の人たちによる無言の抗議もあった

これほど大勢が抗議しているのは、法改正が単に公務員の定年延長という内容にとどまらず、パンデミック以前からいくつかの汚職疑惑について政府の関与が相次ぎ指摘されてきたこととも関連する。そうした懸念のある法改正案を、よりによって大勢が苦しんでいるこの時期に政府はごり押ししようとしている……そういう感覚が広く共有された。

あまりに大勢が経済的にも精神的にも身体的にも苦しんでいる中、先行きの見通しが立たないまま、たくさんの不安がたちこめている。この日常を新しい普通、新しい日常、「ニュー・ノーマル」として受け入れるのは、なかなか簡単なことではない。


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(英語記事 Struggling to accept the 'new normal' in Japan