2020年05月15日 10:59 公開

先月まで米政府当局で新型ウイルスのワクチン開発を主導していたリック・ブライト氏は14日、新型コロナウイルスの感染拡大でアメリカは「近代史において最も暗黒な冬」に直面する可能性があると述べた。ブライト氏は、新型ウイルスをめぐりドナルド・トランプ米大統領の意見に反対したために職を失ったと主張していた。

ブライト氏はこの日、米下院の衛生委員会公聴会で証言し、米政府がアウトブレイク(大流行)の初期段階での対応を「怠った」ために「国民の命が失われた」と述べた。

ブライト氏は医療品不足の問題について、今年1月に初めて米保健福祉省(HHS)の「トップ級」の人物に提起したが、回答は得られなかった」と述べた。

「近代史で最も暗黒な冬」に

ブライト氏は公聴会で、アメリカが新型ウイルスに対処する「絶好のチャンス」が「失われつつある」と警鐘を鳴らした。

「今我々が科学に基づいた対応を改善できなければ、このパンデミック(世界的流行)の状況が悪化し、長期化するのではないかと不安視している」

「よりよい対応を練らなければ、2020年は近代史において最も暗黒な冬になるかもしれない」

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ブライト氏はまた、今年1月に医療用マスクのサプライヤーから「決して忘れることのない」1通のメールを受け取ったと明かした。そこには、深刻な品不足を警告する内容がつづられていたという。

「この人物は(中略)我々が行動を起こす必要があると訴えていた。それで私は、HHSのトップ級の人物に問題を提起したが、回答は得られなかった」

ブライト氏は、新型ウイルスに対処するために議会から割り当てられた資金について、「科学的メリットがない薬やワクチン、そのほかの技術に対してではなく、安全で科学的に検証された解決策」に投じられるべきだと強く主張した結果、解任されたと述べた。

「私は当時、問題を提起した。そして今日は公聴会で証言している。この致命的なウイルスとの戦いを導くのは政治や忖度(そんたく)ではなく、科学でなければならないからだ」

治療薬めぐる対立で解任か

米保健省は先月21日に突然、ブライト氏を生物医学先端研究開発局(BARDA)の局長および国立衛生研究所の役職から解任すると発表した。

これについてブライト氏は、トランプ大統領がCOVID-19(新型ウイルスの感染症)の治療に推奨した抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」の効果に疑問を投げかけたところ、解雇されたと主張していた。

トランプ氏はその後、ブライト氏について、「そんな人は聞いたこともない」、「不満を抱いた」職員だと一蹴した。


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