菅原豊(戦略PRプロデューサー)

 新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言は一部で解除されたものの、全国の観光地、観光産業は先行きが見えてきません。そんな中、観光プロモーション活動は今、何をするべきなのかを整理したいと思います。

 まず、今回直面している問題をどうとらえるか。

①数カ月後に完全な終息宣言が発表され、新型コロナ問題が起きる前の状態に戻る

②新薬やワクチンが開発され新型コロナ問題は終息するとは思うが、それは数年先

③未知のウイルスの解明には相当な時間がかかり、社会生活は元には戻らない

 私は、医療の専門家ではないので、どれが正しいのかは正確には分かりませんが、われわれが何かの仕事に従事し、生計を成り立たせ、生きている以上、起きている現象について「想定をし、準備」しなければならず、その仮説は必要になってきます。

 そこで、世の中で報道されている情報から判断し、想定することは、まず「①はあり得ない」だろうということ。次に②か③を考えた場合、その間で落ち着くのではないだろうかと思っています。

 つまり、医療従事者の方々の懸命の努力と新薬開発によって、終息に向かっていくとは思いますが、その社会は、元の社会ではないだろうというものです。

 その新しい社会において「観光」はどう変わるのか。多くの人の英知、アイデアによってトライアンドエラーが繰り返されながら、新様式に収斂されていくはずですが、では、今、このタイミングで何をしておくのがよいのか。そのことについて考えてみたいと思います。

 現在の観光プロモーションが直面する課題は大きく分けて二つあります。

 まず、一つ目は、観光のプロモーションで最も基本的なフレーズである「来てください」という言葉を使えないことが一番の衝撃。観光事業は、旅行者の時間を自身の地に割いてもらうビジネスなので、来ていただかなければ何も始まりません。

 現在の、新型コロナ感染拡大防止策がとられている中では、目的地である観光地が、人が集まり感染予防の観点で問題があるだけでなく、そこまでの移動手段、交通機関の中での人との接触においてもリスクがあり、移動が制限されますから、行きたくても行けない状況。そんな中「来てください」とは言えなくなり、ではどう伝えればよいのか、という課題。
閑散とするJR東京駅の新幹線ホーム=2020年5月2日
閑散とするJR東京駅の新幹線ホーム=2020年5月2日
 二つ目は、年間を通じてさまざまなイベントや展示会などに参加して、「BtoC」(企業が一般消費者を対象にしたビジネス)、「BtoB」(企業が企業を対象にしたビジネス)の売り込みをしていたことが、すべて中止になり、では何をしたらよいのか、という課題です。

 この二つの課題は、当たり前ですが、これまでの観光ビジネスの形を前提にしています。では、逆に考えて、混んでいる地域より相対的に感染リスクが低い、人気のない観光地はどうでしょうか。その場合も「うちは人気がないので、安全です。来てください!」という表現は矛盾が出てしまい使えません。