「フェイスブックなんて、もう数年前から活用している」という自治体がほとんどだと思いますが、ほぼすべての自治体のフェイスブックは、投稿数、投稿頻度、記事ごとの「いいね!」数などを見ると、いわゆる「仲良しこよしの親睦会」的なものになっているだけで、なんらマーケティングには使われているようには見えません。

 先日、ある県のすべての市町村のフェイスブックを見てみました。行政機関の広報ツールとしてのフェイスブックではなく、外郭の観光協会などのフェイスブックを見たところ22の市町村に公式フェイスブックがありました。平均稼働年数は6年。つまり、2014年頃に設置しているということになります。

 これら22市町村のフェイスブックの月間獲得平均「いいね!」数は20・72件。月平均が約21件なので、6年経過し、現在の平均「いいね!」数は約1500。しかし、この「いいね!」数はほぼ関係者とその友達からの「いいね!」であろうと思われます。

 果たして、フェイスブックとは何なんでしょうか。どういう目的で作ったのでしょうか。今、予定していた観光プロモーションが何もできなくなったこの時期、再び考えてみてはどうでしょうか。

 フェイスブックは「いいね!」をしてくれた人に優先的に情報を届けられるSNSです。他のSNSも概ね同じ仕様ですが、現在のSNSツールごとの利用者層を考えたとき、観光マーケティングという分野ではフェイスブックが最適なSNSだと思われます(どのSNSがどのターゲット層に最も有効か、ということを考える資料はインターネット上にいっぱいありますので、興味がある方は研究してみてください)。

 「『いいね!』をしてくれた人に優先的に情報を届けられる」という仕組みを理解すれば、「来てください」という観光マーケティングの視点から見た場合、その地に行ったことがない人から、どれだけ多く「いいね!」をしてもらうか、という課題が同時に出てくることになります。

 これは、フェイスブックをマーケティングに使う、と決めた瞬間から出てくる課題です。もし、観光協会などが公式フェイスブックを作ろうということを決めたときに、「全国から、世界中からの新規の『いいね!』数を日々増やしていく」という施策を同時にスタートさせていないとすれば、それは大きな間違いを犯したことになります。

 フェイスブックに限りません。インターネット上の情報は、会社などのWEBサイトもしかり、見てもらう活動を戦略的に実施していくことで、その存在意義があります。「作りますが、見てもらう活動はしません」という場合は、新しいお客様は誰も見ませんので、マーケティング視点に立った場合、持ってないことと実質的に変わりません。

 SNSは、友人知人、公式非公式、さらには国境を越え、広がっていくという仕組みを内包していますので、毎月、毎年、新規の「いいね!」を貯めていくことで、非常に大きく、マーケティング活動のための、裏切らないインフラとして成長していきます。

 逆説的に考えれば、公式フェイスブックを作って数年経ち、想定外の困難に直面してしまった今、プロモーションのためのツールとして現有の「いいね!」数が役に立たない、という場合は、それは、マーケティング視点で見ると、偽物の「いいね!」だったのではないか、と考えるのが妥当でしょう。
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
 一方、新規の「いいね!」を、友達の友達の友達…というアナログな関係から増やしていくことは、実際、容易ではありません。SNSという言葉の響きから、それができるのでは?   と考えてしまいがちですが、みなさんが自分自身の活動を見直していただければ、答えはすぐに分かります。

 ここ半年で、自分のフェイスブック友達に、いずれかのフェイスブックの「いいね!」をお願いしたことがある方は何人いるでしょうか。あまりいないはずです。ネット上の情報は、自由に動き回りますが、人の心が介在したとき、「いいね!してね」「シェアしてください」という言葉は、非常に重い鉛が付けられているように、稼働しなくなります。悪い情報はネット上で、匿名で拡散されることがありますが、それと正反対。よい情報を広げるのは簡単ではありません。