多くの人が同じ場所にいる密閉空間を避けて旅をする…このイメージで考えた場合、新型コロナの終息の動きと合わせて観光産業を復活させていく初動のシナリオは、「自家用車、オートバイ、自転車を使った旅づくり」なのではないでしょうか。そこで、全国にある「道の駅」に観光業復活の助走のための中心的な役割を担ってもらってはいかがでしょうか。

 全国に、1173の「道の駅」があります(2020年3月13日現在)。各都道府県に均等にあるわけではありませんが、概ね、大きな道路の脇にあり、混みあった場所にはありません。広大な北海道には125駅あり、北海道以外では岐阜県が最も多く56駅あります。

 東京都は八王子市に1駅だけ。「道の駅」は当該エリアの特産品の販売を中心に各種の観光情報発信基地としても機能しています。かつ、すべての「道の駅」が比較的郊外のひらけた場所にあることで、観光スポットの一つとして機能しつつ、もっとも「密集」の度合いを下げることができます。

 さらに、「新しい生活様式」に沿った「新しい観光」の確立に向けて動き出すのであれば、ぜひ、「分散」をキーワードにして設計していただきたいと思っています。感染予防のために使う「密集しないで」という言葉は、観光地がそれを発すると、事実上「来ないでください」という意味が含まれてきてしまいます。

 これでは、観光プロモーションは成立しません。そうではなく、これまで観光資源があるにもかかわらず、あまり注目されていなかった地域の観光プロモーションと情報発信を強化することで、全体として、自然に観光客が「分散」されるようにしていくことが重要なのではないでしょうか。

 観光客は、いつの時代も、自分で行きたい場所に行くものです。そうでなければ、非日常を味わったり、ストレスを発散したり、ということができません。観光地として既に一定レベルでき上がっているところに、観光客を戻すためのキャンペーンやプロモーションではなく、「分散」をキーワードにした「新しい観光」を作っていただきたいと思っています。その中で、全国に平等にあり、感染予防の観点で安全性が高い「道の駅」を活用していく。そんな政策を推進していただきたいと思います。

 新型コロナ感染拡大予防策によって、全国、全世界で、「移動」することに制限がかけられている今、日本全体の経済的ダメージは大きく、特に「移動」することで成り立っていた全国各地の観光産業は瀕死の重傷を負っています。
国道118号沿いに掲げられた道の駅常陸大宮のメッセージ=2020年4月、常陸大宮市
国道118号沿いに掲げられた道の駅のメッセージ=2020年4月、茨城県常陸大宮市
 しかし、新型コロナ問題の解決を待っていれば、何もできません。今の状態で、できることを模索し、実施し、レビューし、さらに実施していくことが大切です。本稿では、三つのアイデアを書きましたが、それぞれが有機的に連携するように進めていくと、その効率性が上がっていくはずです。

 みなさんの地域で、まずは、今回の新型コロナ問題をどう位置づけるかを決め、それを地域で共有し、できれば地域みんなでリスクを分散しながら、新しい生活様式に呼応する新しい観光のスタイルの確立につながる一歩を踏み出していただきたいと思います。