2020年05月16日 11:46 公開

無名時代のビートルズの白黒写真をドイツで撮り、髪型から服装までそのスタイルに大きな影響を与えたドイツ人写真家、アストリッド・キルヒャーさんが13日、亡くなった。81歳だった。ビートルズ歴史家マーク・ルイソンさんが15日、ツイッターで報告した。

ビートルズはドイツ・ハンブルクのナイトクラブで活動していた1960年、キルヒャーさんなど地元の若者たちと知り合い、キルヒャーさんがバンドの白黒写真を多数撮影した。バンドのビジュアル・イメージに大きく貢献したとされている。

ルイソンさんはツイッターで、「ダンケシェーン(どうもありがとう)、アストリッド・キルヒャー。知的で、周りを奮い立たせてくれる人。革新的で、大胆で、芸術的で、世の中の動きをよく知り、洞察力があり、美しく、賢く、愛情深く、大勢を元気にしてくれる親友だった。ビートルズに与えた影響は計り知れない。82歳になる数日前の水曜日、ハンブルクで亡くなった。安らかに」と書いた。少し前から病床にあったという。

https://twitter.com/marklewisohn/status/1261338530019565573?s=20


「まるで頭の中でメリー・ゴー・ラウンドが回っているみたいで。本当にものすごく素敵だった」。

ハンブルクのナイトクラブで最初にビートルズを見かけた時について、キルヒャーさんはビートルズ伝記作家ボブ・スピッツさんにこう話している。

「たった数分間で人生がすっかり変わってしまった。バンドのみんなと一緒にいたい、知り合いになりたいと、もうそれしか考えられなくなった」

キルヒャーさんは、ジョン・レノンさんの親友で当時ベース担当だった美術学生スチュアート・サトクリフさんと恋人同士になり、自宅やハンブルク市内でサトクリフさんを始めほかのメンバーの写真を撮り始めた。サトクリフさんの髪型を、当時ハンブルクのアート好き若者の間で流行していた前髪をおろしたスタイルに変えると、他のバンドメンバーもそれを真似るようになった。これが後に世界的に有名になる、いわゆる「ビートルズ・カット」の起源となった。

キルヒャーさんとサトクリフさんは間もなく婚約したが、サトクリフさんは1962年にわずか21歳で、脳内出血のために亡くなった。

キルヒャーさんは2010年、米公共放送NPRに「彼は昔も今も変わらず、私の最愛の人です」と話している。


サトクリフさんが亡くなった後もビートルズとの交友関係は続き、キルヒャーさんは1960年代を通じてバンドの写真を撮り続けた。

2010年にはビートルズの地元、英リヴァプールでキルヒャーさんの写真展が開かれた。写真集「Astrid Kirchherr, A Retrospective」も出版された。その中には、大西洋の島テネリフェで休暇をとるビートルズの様子や、映画「ハード・デイズ・ナイト」撮影中のスナップなど、未公表だった写真も含まれていた。

キルヒャーさんは後に、スタイリストやインテリア・デザイナーとしても働き、ハンブルクで写真店を経営。2度結婚したが、子どもはいなかった。

(英語記事 Astrid Kirchherr: Beatles photographer dies aged 81