
2020年05月16日 15:23 公開
英イングランドとウェールズで、新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)に違反したとして罰金が科された事案が合わせて1万4000件以上に上っていることが、ロンドン警視庁のデータで明らかになった。
ロンドン警視庁が公開した3月27日から5月11日までのデータによると、罰金通知の発行数が最も多かったのはロンドンで、906件だった。
イングランドでは段階的なロックダウン緩和の開始に伴い、感染対策のルールに従わなかった場合の罰金を13日から60ポンドから100ポンドに引き上げた。今回のデータは、罰金額が引き上げられる直前までの期間が対象となっている。
新型ウイルスのパンデミック(世界的流行)関連で、イングランドとウェールズで56人が誤って起訴されたことも明らかになった。
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イギリスの全国警察本部長評議会(NPCC)によると、感染拡大を防ぐための社会的距離戦略に違反したとして、イングランドで1万3445件、ウェールズで799件の罰金が科された。社会的距離戦略には、移動や集会への参加に対する制限も含まれる。
ロンドンに次いで罰金件数が多かったのはテムズヴァリー警察の866件で、北ヨークシャー警察(843件)、デヴォン・コーンウォール警察(799件)と続く。
対照的にウォリックシャー警察管内ではわずか31件、スタフォードシャー警察管内では52件、グエント警察管内では71件にとどまった。
違反を繰り返した人は合わせて862人で、そのうち1人は9回罰金が科されていた。
違反者が最も多かったのは晴天だったイースターの時期で、4月11日に600件近くの罰金が科された。翌4月12日のイースター当日は約500件だった。
しかしNPSSは、イングランドとウェールズで罰金の対象になったのは、5000人中1人に過ぎないと指摘。今回のデータは警察が「相応の」姿勢で臨んでいることを示すものだと説明する。
英保健省は、新型ウイルスによる死者が384人増え、陽性と診断された後に死亡した人の数が、現地14日午後5時時点で3万3998人に上ったと発表した。
イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドには、それぞれ異なる新型ウイルス対策がある。
イングランドでは13日、初回違反の罰金額が60ポンドから100ポンドに引き上げられた。14日以内に罰金を納めれば50ポンドで済む一方で、違反を繰り返すたびに金額は倍増し、最大3200ポンド(約41万円)まで引き上げられる。
ウェールズでは違反者には60ポンドの罰金が科されるが、2週間以内に納めれば30ポンドに引き下げられる。違反を繰り返すたびに金額は倍増し、最大960ポンド(約12万円)まで引き上げられる。
イングランドでは今週、移動制限の段階的緩和が始まり、屋外での運動のために1日何度も外出できるようになった。ただし会えるのは自分と同じ世帯の人か、他世帯の1人だけに限定される。2メートルの社会的距離も保たなければならないが、これに法的拘束力はないため、離れるよう警察が強制することはできない。
別のデータによると、新型ウイルス関連の起訴件数は231件に上った。しかし、このうち56件は誤起訴だったことが英検察庁の調査で明らかになった。
44件は、「感染の疑いがある人物」を勾留できるとする新型コロナウイルス法に基づく誤起訴だった。12件は、集会を解散させ、移動を制限する権限を与える健康保護規則2020に基づく誤起訴だった。
検察庁は、現在は防止策を講じているとしている。また、間違いの多くはウェールズの規則がイングランドで適用されたり、その逆のパターンが起きたことによるものだと付け加えた。
BBCのダニー・ショウ内政担当記者は、コロナウイルス関連法はあまりに大急ぎで制定、施行されたものだけに、運用で問題が出るのは当然だと説明する。
今年3月に外出制限が敷かれた際には、違反者に罰金を科せるように変更を加えた権限が警察には与えられておらず、警察は行き当たりばったりで対応するほかなかった。そして、関連法で認められていないにも関わらず、子供が罰金を科されていたことも明らかになった。
関連法を運用する側の警察などに、法律の目的と範囲を十分に説明できていないことは、数々の間違いの数からも明らかだと、ショウ記者は指摘する。
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