2020年05月19日 13:12 公開

フランスとドイツは18日、新型コロナウイルスの流行で打撃を受けた欧州連合(EU)加盟国の景気回復に向けた5000億ユーロ(約58兆6000億円)規模の基金を立ち上げる計画を発表した。

エマニュエル・マクロン仏大統領とアンゲラ・メルケル独首相はこの日にビデオ会談を行い、この基金は融資ではなく補助金として供給されるべきだとの意見で一致した。

マクロン大統領はこの合意について、大きな前進で、「ユーロ圏が団結し続けるために必要なものだ」と話した。

「これは非常に深い変革で、EUと単一市場が一体性を持続するために必要なものだと思う」

一方のメルケル氏は当初、各国が債務を共有する案には反対していた。代わりに欧州委員会が市場から借り入れ、EU予算から段階的に返済することになると述べた。

両国が提案したこの基金から出る補助金は、加盟各国の環境投資にも当てられるという。

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欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、この提案は「欧州がいかに経済的に大変な課題に直面しているか、課題の程度と規模を認識した上でのものだ」と評価した。

欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁も、計画は「野心的で目標が明確で、ありがたいものだ」と述べた。

提案の実現には他のEU加盟国の同意が必要となる。しかしオーストリアのセバスチャン・クルツ首相はすでに、補助金ではなく融資であれば支持すると示唆している。

クルツ氏はツイッターで、「我々の立場は変わらない。天井を押し上げるより、新しい優先事項を反映したもの(EU予算)を期待している」と表明した。

一方、イタリアとスペインはすでに、特に欧州北部の経済力の強い加盟国に対し、債務を共有し、加盟国全体が助け合いながら返済できるよう連帯すべきだと訴えていた。

EUでは今週から、3月頃から続いていた都市封鎖(ロックダウン)が徐々に緩和されている。

多くの企業が2カ月以上ぶりに営業を再開できるものの、新型ウイルスのパンデミックはすでに各国経済に打撃を与えている。


<解説>カティヤ・アドラー欧州編集長

欧州政治にとって、これはとてつもない内容だ。

メルケル独首相は大きく譲歩した。メルケル氏はこの基金から援助を必要とするEU加盟国に割り当てる資金は融資ではなく補助金だと、公に合意した。

パンデミック前から経済が低迷していた国の債務を増やさないことが、この合意において重要なポイントだ。

マクロン大統領も譲歩している。マクロン氏は当初、1兆ユーロ以上の規模の基金を求めていた。しかし1兆ユーロ以上の補助金というアイデアは、ドイツの納税者を代表するメルケル氏にとっておそらく、受け入れがたいものだったのだろう。

お互いの譲歩がお互いに利益をもたらすと、両首脳は願っている。

両首脳は、欧州を動かす名高い仏独のエンジンにはまだ余力があると、示すことができた。

マクロン氏は国内的にも何としても欧州での外交実績を磨く必要がある。すでに再選を狙っているが、「ミスター・ヨーロッパ」を自認するマクロン氏の欧州改革は今のところ、無残にも失速しているからだ。

一方のメルケル氏は、今期で首相を辞任すると決めている。このパンデミックの中でEUがいさかいと連帯の欠如のうちに、破綻してしまうと予想してメディアを騒がせた。メルケル氏はメルケル氏で、自らの政治的な総決算を念頭に置いているのだ。


(英語記事 Macron and Merkel float 'ambitious' EU virus fund