最後にもう一点、留学についても指摘しておきたい。9月入学に移行すると、グローバルスタンダードに対応できると支持する論調が強い。一方、このグローバルスタンダードについて「留学するのはごく少数だ」と反対する向きも多い。

 確かに、日本人留学生も海外からの留学生も現状では少ないことは事実だ。日本学生支援機構の調査によると、外国人留学生は31万2214人(2019年度)、日本人留学生は11万5146人(2018年度)にとどまっている。

 大学生数は約290万人であるから、外国人留学生と日本人留学生を合わせても全体の約15%に過ぎない。このデータだけ見れば「15%の学生だけしか、9月入学は関係ない」と論じることもできる。

 しかし、日本人留学生が約11・5万人にとどまっているのには理由がある。長期間の留学で留年することにもなりかねず、就職活動にも不利になると懸念したり、そもそも長期間の留学を終えてから就職活動を始めても、既に出遅れていると危惧したりする学生や保護者が多いからだ。

 実際には、長期留学して留年しても、就職活動にはほとんど影響しない。例えば、グローバル系大学として有名な国際教養大(秋田県)は2018年卒業者のうち、4年で卒業した割合は58・2%にとどまっている。

 これは長期留学者の多い他大学も同様で、東京外国語大28・6%、大阪大外国語学部(旧大阪外国語大)33・7%、神戸市外国語大39・4%、宇都宮大国際学部50・5%などとなっている。では、こうした大学の就職実績が悪いかと言えば、むしろいいのである。
「鳥取城北日本語学校」で授業を受ける留学生と見学する事業所の関係者ら=2020年2月13日
「鳥取城北日本語学校」で授業を受ける留学生と見学する事業所の関係者ら=2020年2月13日
 就職活動も、長期留学者の多い大学・学部であれば、対象を限定した学内説明会兼選考会を実施している。つまり、就職活動が留学によって出遅れるとするのは、大いなる誤解に過ぎない。それに、こうした問題も9月入学によって解消される。

 現在の留学生数は確かに少ない。しかし、それは留年に対する誤解や4月入学による弊害などによるものである。

 現状の対象者が少ないと言っても、それも9月入学によって大きく引き上げられる可能性は極めて高い。むしろ未来への投資と考えても、9月入学、そして9月入社への変更は理にかなっているのである。