日本の会社は、高卒・大卒を一気に採用して「同期を創る」のが基本でした。その後も途中まで同期同列で昇進し、取締役や部長、課長止まりだった人も定年まで勤める終身雇用が古き良き時代のありようでした。

 同期同列や終身雇用はどんどん崩れていくのでしょうが、一気に大勢を採用して「同期をつくる」という人事システムは今のところ、ほとんどの日本会社が有する風習です。

 ところが、9月スタートにするとゴールも8月になりますから、先輩とは1年ではなく1年半入社が遅い後輩が誕生します。新入社員をどのように教育するかについて、企業によってさまざまな伝統があり、急に4月入社から1年半遅れの9月入社になっても困る企業は多いのではないでしょうか。

 安倍内閣は霞が関に課題を考えさせて、あとは政治判断だと思っているようですが、少なくとも大企業や中小企業の代表者と調整すべきでしょう。

 最後になりましたが、三つ目の理由は予算と教職員の定年の関係です。

 国公立の学校は税金で運営されており、そこに勤める人々は公務員か、準公務員なので、新年度が4月からスタートする官公庁と各学校のやりとりは極めて重要です。そのため次のような調整が必要になってきます。

・令和2年度は18カ月になるのか?
・二つの年度にまたがることになる予算をどうするか?
・令和3年3月に定年になるはずだった教員をどのように扱うか?
・教員の採用はどうするか?


 ただこうした調整は役人の得意分野ですから、既に省庁間で議論は済んでいる可能性が高いです。むしろこの程度の調整が済んだだけで、「基本的な問題は解決しました」と霞が関と永田町の住人たちが考えていることこそが問題なのです。

 日本はいつまで発展途上国でいるつもりなのでしょうか。役人ごときに国家の重要事項を考察させてはいけません。彼らの本来の仕事は、先に政治的に決定された事項を無事に推進することです。
39県の緊急事態宣言解除を表明する安倍晋三首相=2020年5月14日、首相官邸(春名中撮影)
39県の緊急事態宣言解除を表明する安倍晋三首相=2020年5月14日、首相官邸(春名中撮影)
 空気だけで緊急事態宣言を出し、空気だけで延長してしまう今の安倍内閣ごときが急に判断して実行するほど、「何歳から義務教育を始めるか」は小さな事項ではありません。少なくとも、次の国政選挙の争点の一つにすべき事柄でしょう。

 ということで、将来的な9月入学には賛成しつつも、「緊急事態宣言で入学が遅くなった学校が多いから、学校は9月からということにしませんか」という低レベルな提案には、断固反対していくつもりです。